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46-7


 最悪な朝だった。

 普段よりも睡眠が浅く、充分な休養も取れていない。むしろ、疲労が溜まった気さえする。

 それなのに、今日の3回戦目は1試合目というスケジュールになっており、30分後の8時には会場入りしなくてはならない。

 そのうえ、試合に参加する筈のドルチェとファルナはベッド上でうなされ、何度揺すっても起きる気配すら見せない。

 自分の力で跳ね返せた俺と違い、ファルナとドルチェは今も相手の能力にやられているのだろう。


 優真は二人のベッド脇に置いてある椅子に座り、二人の手を握る。すると、少しだけ表情に安らぎを見せた。

「行ってくる。二人の分も俺が頑張ってくるよ」

 そう言って、優真は椅子から立ち上がり、二人の部屋を後にした。


 ◆ ◆ ◆


 俺は最初、自分が攻撃を受けたという事実が信じられなかった。それは特殊能力【勇気】があるからだ。

 自分や子どもに攻撃が当たりそうになった時、俺以外の全てを止め、俺に先制行動させてくれる能力。例外があったり、自分から先に攻撃した場合は発動しないと色々条件はあるが、今の俺にはかなり使いやすい能力となっている。

 だが、能力の全容を把握している訳じゃない。

 解らないことの多すぎる能力。だから、いつ発動するのかしないのかが解らないというケースも今までにいくつかあった。

 だから、今回仮説を立ててみた。

 悪夢を見せるのは、悪意ある攻撃と判定され、発動の対象になる。だが、自分の望む夢を見せようとする場合は悪意の有無関係なしに通るのだとしたら?

 ……思った以上に今回の敵は相性が悪いのかもしれない。


「……じゃあ俺は控え室に入るけど、他の参加者は誰なの?」

 優真は予定にあるスタジアムの通路前で皆に向かってそう聞いた。だが、女神は首を傾げた。

「何言ってるんだい? 別に主神の陣営なら誰でも入れるんだから私達も今回はそっちに行くに決まってるだろ?」

 その予想外な発言に優真は他の皆の顔を見た。

 眠そうに目を擦るシェスカ以外の全員がさも当然かのような顔を見せている。

 そして、その中には大地の女神の眷族筆頭という立場にあるハナもいた。

「あれ? それじゃあハナさんは入れないんじゃないの?」

「何言ってんのユウタン? この前眷族筆頭の立場を追われた私が大地の女神様の眷族な訳無いじゃん! 昨日から正式にユウタンと同じ子どもを司る女神様の眷族になってるよ」

 先程と同じく初耳と言いたげな表情を見せる優真だったが、8時5分前だとタッチパネルのアラーム機能に急かされ、とりあえず詳しい話は後で聞くことにして、優真は皆を引き連れてスタジアムに入った。


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