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46-6


 部屋を開けてみると、案の定ファルナとドルチェがベッドの上でうなされていた。

「……やっぱり……くそっ! あの女いったい何がしたいんだよ!」

「そりゃあ君達を出させないようにする為さ」

 聞き覚えのある声が背後で聞こえ、そちらに視線を向けると、パジャマ姿の女神様が立っていた。普段見せることのない格好でここにいるということは話を聞いて慌てて飛んできたのだろう。

「女神様……てことは、これをやったのって……」

「ああ……次の対戦相手、幻想と夢を司る女神チームの誰かだろうな」

 女神様はゆっくりと怒りの含まれた声色でそう答えた。


 ◆ ◆ ◆


 ファミルアーテ序列第5位『幻惑の魔女』ことイルジョネア・バウマン。

 100年前の『神々の余興』において、その能力を買われ、序列5位の席についている。その実力は間違いなく元序列7位のネビアよりも上で、その戦法は相当厄介なものだと聞いている。

 ただ、あまり自分の戦いを見せたがらない質で、ほとんどの試合で自分の戦う姿を煙のようなもので隠している。


「……そういえばさ、対戦前に対戦相手を襲うのって反則じゃなかったっけ?」

 子ども達以外の全員が集まったリビングで、優真は女神に精神的な攻撃を受けたことを説明した。ただ、父親の件は優真の中でも混乱していたため、トラウマを見せられたとだけ伝えた。

 そして、全ての説明を終えると、優真は女神に向かってそう聞いた。普段通りの白い衣服に着替えてきた彼女は、閉じていた目を開く。

「……そりゃそうなんだけど、優真君は相手の姿を見ていないんだろ?」

「黒い影しか見えなかったな。声やそのシルエットから女性だとは思うが……」

「なら無理だろうね。相手はファミルアーテ、下級神の位置付けにある私の話なんか証拠がないと突き返されるだけだし、なんなら相手を貶める為に私達が話をでっち上げたと文句を言われ、立場を危うくしかねない」

「……ということは二人の件で咎めることは……」

「出来そうにないね」

 女神の言葉に優真は悔しそうな顔を見せる。だが、優真は気付く。女神からは悔しそうな感情も見てとれたが、思っていた以上に彼女は冷静だった。

「結構落ち着いてるんだな……出場者の二人が明日は参戦出来ないかもしれないってのに……」

 イライラしている優真の言葉に、女神は顔色一つ変えずに対処した。

「そうだね。それに関してはまったくもって腹立たしいかぎりだ。でも、優真君だけでも無事で良かった。流石に優真君まで倒れられたら、私達の敗北は濃厚だったからね」

「濃厚も何も……最早無理じゃね?」

「そこは心配しなくていい。我に秘策あり……ってやつだよ」

「秘策って?」

「それは明日のお楽しみだ。とりあえず優真君は少しでも長く休んどいてくれ。君と他の皆の安全は今日だけ全力をもって私が守ろう」

 自信満々に言った女神のその言葉には、不思議と安心感があり、優真は素直に従う姿勢を見せた。

「よくわからんが、女神様がそこまで言うってことは大丈夫なんだろう。今日は色々あって疲れた……おやすみ」

 優真は立ち上がり、女神を含めた全員にそう言うと、部屋に戻っていった。


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