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「試験クリアおめでとうございます! 一応、先程の試験でアマミヤさんの実力が少なく見積もってもB級、いえ、それ以上だと判断いたしました。しかし、今回の試験はあくまでも、冒険者になる資格があるかどうかの試験なため、あなたをF級より上に上げることはできません。どうかご理解いただけないでしょうか?」
新規冒険者受付まで戻ってきた俺は、同じく戻ってきた受付嬢のお姉さんから、ギルドカードをもらった。
左上には、Fの文字。
前にこの世界の言語は俺にもわかるように日本と同じものにしてあるとタッチパネルを通じてミハエラさんから聞いたことがある。
まぁ、英語とか習得することもままならない俺には、ありがたいことです。
「いえいえ、問題ありませんよ。さっきのは、俺に花を持たせるためにわざとだったってのは薄々気付いていましたから、どうせ俺なんてとるに足らない雑魚ですよ!」
「……そんなことないと思うのですが……」
「なにか言いました?」
「いえ、なんでもありません!」
首と手を何度も振って否定するギルドの受付嬢に、優真は疑問を抱いたが、否定する相手に無理矢理迫る趣味は持ち合わせていなかったので、素直に引き下がった。
(い……言えない。速すぎてディックさんがいつ斬られたのかがわからなかったなんて言えないですよ! というか、見えないっていったいどれくらい速いんですか! 本当に新人? 実はA級冒険者が私達をからかいにきたとかそんなんじゃないわよね?)
「……あの~、受付のお姉さん? なんでさっきからまた俺を訝しむような目で見てるんですか? 疑いはさっき晴れたんじゃなかったんですか?」
「はっ! し……失礼しました! え~っと、それではギルドの説明をさせていただきますがよろしかったですか?」
自分でも雑な話の反らし方だと思いながらも、受付嬢は強引に話を反らしてギルドの説明を始めた。




