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45-8


 先程天使が言っていた言葉、そして、先程伝えられたルキュナの言葉、自分の知らないところで勝手に因縁つけられているのがむかついて仕方ない。

「先鋒戦はファルナに任せる。俺はルキュナを潰す。ドルチェは最後だ。出番は無いと思うがもしもの時は準備しておいてくれ」

「「は~い!」」

 二人の返事を聞き、優真はファルナを見送った。


 開始の時間になり、二人の人物がスタジアムのフィールドに立つ。一人は白髪に猫耳と尻尾の可愛らしい少女。体躯は細いが、その見た目で相手の少年は油断しない。

 水色の髪を逆立てた少年の表情に怯えは見当たらない。むしろ、彼女ならまだ勝てると踏んでいた。

「俺の相手はお前か? あのドラゴン娘じゃなく?」

「それがなに?」

 これまで様々なことがあったせいで人間を信用することの出来ないファルナは、相手が元人間という理由もあいまってぶっきらぼうに答えた。

「正直言って初めて聞いた時は冗談かなんかだと思ったよ。お前らなんかがネビアさんを倒すなんてな。神の為に戦った忠義心の塊みたいな人によってたかって……本当、最低な奴らだよな?」


 因果関係が気になっていた俺は、近付けるギリギリの場所でその会話を聞いていた。

 俺は少年の話が挑発の類いだと思った。なにせ、事実がまったく異なるからだ。しかし、少年の表情には怒りが隠しきれていない。どうやらその嘘を信じているようだ。

 そして、その挑発にファルナは引っ掛かる。

「お前達が……シェスカを狙った奴らか……」

 フィールドに張られた結界は外からも中からも魔法や特殊能力の効果を通すことはない。よって、今の一瞬で起こったことに俺の【勇気】は発動しない。

 避けきれなかったのだろう。少年の体が呆気なく結界に叩きつけられ、その姿を猛虎の姿となったファルナが見つめる。


 運が良かったことに、鐘の音はファルナが少年を襲う直前に鳴っていた。

「その話をファルナにだけはしちゃだめだったな、少年……」

 怒りで目を尖らせている猛虎の姿を見て、結界越しにそう呟く。


「本当はお前なんか、この爪で八つ裂きにしてやりたい。でもそれやると、お兄さんから嫌われちゃう。だからしない……でも、まだやるというのなら……容赦しないよ!」


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