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45-6


 今回は色々と話しあっていたため、1回戦の試合には間に合わなかった。お陰でメイデンさん達の試合を見ることは叶わなかった。

 カリュアドスさんがどういう試合をするのか気になっていたのだが、終わってしまったものは仕方ない。代わりに2回戦と3回戦は自分達の試合が行われる会場で見た。

 別に移動するのが面倒だと思った訳じゃない。

 2回戦と3回戦はそれぞれ創造神様と炎の男神様の眷族達が出るのだ。注目株というだけあって、会場はすぐに満員となった。


 創造神様のチームはいきなりキュロスという男が出てきた。対戦相手の女性は、その姿を見て彼から発せられる威圧に焦点もまともにあっていない様子だった。

 そのせいか、試合開始の合図が鳴った瞬間、やけくそのような攻撃をキュロス相手に仕掛けた。結果、瞬殺という言葉がよく似合いそうな試合となった。

 キュロスという男は女性の顔を鷲掴みにし、攻撃が周りに飛ばないようにつけられた半球型の結界に体を叩きつけた。

 相手を鷲掴みにする速さも、一瞬で距離を詰める時の速さも、目で追うのがやっとだった。

 今の状態では絶対に勝てない。そう思ってしまう程の完全勝利だった。


 そして、炎帝と呼ばれている男の試合は先日同様中堅戦だった。

 本当の名前は明かされず、ただ炎帝とだけ呼ばれている。

 しかし、炎帝の名に俺は覚えがあった。

 眷族筆頭や眷族達だけがなれると言われているS級冒険者の一人に炎帝という名前があった。

 そもそもS級冒険者とは、神の家族と呼ばれている眷族達が人間達の住む地上に行き来する為の身分証に過ぎない。

 もちろん、素性を隠して普通の冒険者として遊んでいる眷族もいるが、パルシアスやメイデンさん、そして、ハナさんのように地上によく行く眷族達が基本的に持つ資格らしい。また、ファミルアーテもS級冒険者には絶対に登録させられるらしい。

 だが、眷族達が地上に行くことは滅多になく、あっても暇潰しや信仰者の確保が主な理由だろう。

 その中でも炎帝とは、S級冒険者の中でも数少ない活動を行っている冒険者だ。前にギルド長がここ数年の活躍がめざましいと言っていた。

 その実力は冒険者達の間で上位に噂されているとかなんとか。ただまぁ、炎帝()や俺のように人間やモンスター達に向かって力を振るうようなことを普通の眷族達は行わない。ましてや、パルシアス達はそんなことしてる暇すら無いそうだ。

 しかし、それでも炎帝の実力は本物だろう。

 彼は初めに何かを探しているような仕草を見せていたが、試合開始の鐘が鳴った瞬間、探し物をやめ、相手を一瞬で灰にして帰っていった。

 おそらく……昨日と違って生きてはいないのだろう。

 仲間と思われる眷族達が近寄って泣いている姿は見ていてきついものがあった。


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