45-1
今日は1月4日、『神々の余興』全1回戦が消化された日から一夜明けた。
初日から波乱の起こった『神々の余興』。まずは創世神の3柱は危なげなく、初戦を突破した。その中で唯一俺達が見ることの出来た試合はパルシアス率いる時空神様の眷族達による試合だけだった。大将戦に控えるパルシアスの出番はなく、何故か俺の後ろで仲間の試合を観戦するという意味不明な行動を見せていたが、実際、2戦全勝しているのだから文句の言い様がない。中堅戦のエパルも、光の女神様の眷族筆頭相手に危なげなく圧勝していた。
そして、波乱となった試合、ハナさん率いる大地の女神様の眷族達は1勝も出来ず、初日から姿を消した。
全ての日程が終わった直後に、ハナさんが行方不明だと伝えられた時は焦ったが、そんな騒ぎを起こした彼女は今、万里華に朝食のカレーで汚れた口回りをハンカチで拭ってもらっている。……まぁ、彼女が無事で良かった。
だが、ハナさん達に勝った炎の男神様の眷族達は危険だろう。幸いにも、トーナメントが違うので、当たっても決勝だ。向こうのブロックにはパルシアス達がいるし、十中八九大丈夫だろう。だが、その前に俺達が越えなければならない壁がある。
順調に行けば当たるであろう3回戦目に幻想と夢を司る女神様、そして、準準決勝にメイデンさん、準決勝には創造神様の眷族、キュロスという大きな壁がある。
1回でも負ければ、それで終わりとなるトーナメント……気を抜けない死闘がこれからも続くのだ。そして、忘れちゃならないのがパルシアスが教えてくれた時空神様の命令。
『自分達の権限でホムラを生き返らせる』
俺にとって嬉しい話のように思える発言……しかし、うちの女神様にそれを教えた途端、険しい表情で絶対に阻止しろと訴えかけてきた。
正確な狙いが定かでない以上、名誉毀損と言われる為、詳しい話は出来ないと言われたが、どうやら思っていた通り、とんでもないことを企んでいるらしい。
……そういえば、今日の試合は4試合目らしいが、対戦相手は聞いていなかったな。
「ねぇシルヴィ、今日の対戦相手ってどっちが来るかわからないから当日教えてくれるって女神様が言ってたけど、なんか聞いてない?」
俺の湯飲みにお茶を注いでくれていたシルヴィにそう聞くと、シルヴィは急須をテーブルに置いて、指で顎に触れながら記憶の中から回答を探すような仕草をし始めた。
「そうですね……女神様からは聞いていませんが、確か対戦相手の方が直々にここまで来られていましたね……確か名前が……」
必死に思い出そうとしているシルヴィだったが、そんなタイミングで、テーブルが勢いよく叩かれた。
音のした方を見てみると、珍しく怒っていそうな顔になっているユリスティナが俺の隣まで来ていた。
「絶対の絶対に勝ってくださいね! じゃないとわたくし……わたくしっ!!」
俺の肩を掴み、前後に揺らしてくるユリスティナは涙目で、俺に勝つよう何度も訴えかけてきた。




