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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
44章:実習生、波乱の幕開けを感じとる
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44-6


 優真は主神から聞いた情報を頼りに、ハナの試合が行われているスタジアムへと向かっていた。だが、彼のスピードは普段よりも遥かに遅い。それは、彼の後を追いかける少女達にあまり負担がかからないようにするためだった。

 ようやく着いたスタジアムは、自分達のいたスタジアムの隣に位置していた。しかし、既に10分が経過しており、スタジアムの長い階段では、歓声すら聞こえなかった。

 自分達の試合が数分で終わっただけに、嫌な予感がしてならなかった。

「疲れてるとこ悪いけど……」

「いいっていいって……私達のことは気にしないでよ……」

 膝に手をつきながら肩で息をする万里華がそう答える。森で育ったシルヴィや背中から翼を生やして低空飛行をしている女神やミハエラはまだまだ余裕だった。

 だが、城の中で過ごしていたユリスティナや、運動が苦手な万里華はかなりきつそうだった。

 シェスカは、優真がおんぶさせていることで、風が気持ち良かったのか、もっとやってと優真にせがんでいる。

 優真自身、早く中に入って観客席に向かわなくては、と考えているが、疲れきっている二人を無視は出来ない。

「……これは仕方ないかな……ミハエラ、二人の傍に着いていてあげてくれ。スーちゃんとイアロちゃん、それから、さっき【神獣化】を使って疲れているだろうし、ファルナちゃんとドルチェちゃんもここに居てくれ」

「かしこまりました」

 子どもを司る女神の指示により、ドルチェとファルナの二人が少しばかり抵抗しようとしていたが、ミハエラが向ける笑顔の圧に気圧され、渋々そこで待機することになった。

「シルヴィは大丈夫なの?」

「大丈夫です。森にいた頃の方がもっと走ってましたしね」

「確かにな……でも、無理はしないでくれよ」

「はい。それでは急ぎましょう」

 真剣な表情を見せたシルヴィに優真が頷き、二人は階段を駆け上がった。


 長い階段を抜けた優真は、観客席へと到達すると目の前にある手すりから身を乗り出して、状況を確認した。

 幸運なことに、試合はまだ終わってはいなかった。

 鉄製と思われる槍を振り回す半裸の少女と、周りに炎の弾を浮かべながら、時折、少女に向けて放つフードを被ったローブの男が、優真の視界に映る。

 しかし、状況は芳しくなかった。

 少女の方は必死な形相で槍を振り回しているが、体のあちこちに紅い血がついていた。反対に、男の方は体を隠すローブに傷すらついていない。

 どちらが劣勢であるかなんて一目でわかった。


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