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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
44章:実習生、波乱の幕開けを感じとる
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『第1回戦から波乱の幕開けとなった神々の余興! 前回8位としてファミルアーテに入ることを許された太陽神様の眷族達がまさかまさかの初戦敗退!! そして、次の試合も大注目の神、子どもを司る女神様の眷族達が出場します!! 予選ではたった一人で眷族達を薙ぎ倒し、その異様な戦い方からアンタッチャブルと神々に称された男、ユウマ・アマミヤ。そんな彼が筆頭を務め、他の二人に関しては実力が一切不明という謎多きチームですが、どういう戦いをしてくれるのか……実に楽しみなチームです!!

 対するは、予選Bブロックで他の眷族達を圧倒してみせた水の女神様の眷族達です! 先程、筆頭のハスイ様に伺ったところ、今年初参加で数合わせの眷族を集めただけのチームに私達が負ける訳無い……と自信満々におっしゃっておられましたが……いったいどういう試合展開になるのか……注目です!!!』


 天使の声で観客が盛り上がっていくのを裏で聞きながら、俺は自分の心を落ち着かせる為に、大きく深呼吸をした。

 思えば、日本ではこんな大きな大会に出たことなんて無い。予選では、パルシアスの予想外な発言に驚かされ、緊張する余裕すら無かった。

 2本先取の大将戦……責任は重大だ。緊張しない筈がない。

 だが、そんなこと言ってられない。別の会場では、ハナさんが戦っている。そして、俺よりも先にこの子達が戦うのだ……俺が弱音を吐いてる場合じゃない。

 そんな感じで気合いを入れ直していると、ファルナが俺の服を軽く引っ張ってきた。

「ねぇねぇお兄さん、今日ね、お兄さんの出番無いんだよ! 僕とドルチェちゃんで全員ボッコボコにするからね!! でねでね! 終わったら撫で撫でして~」

 暢気な声ですり寄ってくるファルナに苦笑するが、ファルナなりに俺を気遣ってくれてのことだろうと自分を無理矢理納得させた。

 だが、二人にはどうしても伝えなければならないことがあった。

「ファルナ、ドルチェ……二人ともよく聞いてくれ。今日の試合だけじゃない。明日以降の試合も油断すれば負ける可能性が高くなる……だから、約束してほしい。やばい時はいつでも逃げてくれ。負けを認めて帰ってきてくれ。例えどんな時であっても、俺達にとって二人が無事であってくれるのが一番なんだ。それを約束してくれるなら、試合が終わったら撫で撫ででも添い寝でもいくらでもやってやるよ!」

「ほんと!? うん! する! おじちゃんとお寝んねできるなら、あたちも頑張る!!」

「僕も~! お兄さんと約束する~!」

 二人と視線を合わせる為にしゃがんでいた俺は、元気な声でそう言ってくれた二人の頭を撫でようとして、やめた。それは彼女達が求めるご褒美だ。だから俺は、二人を強く抱き締めた。

「よし! 二人とも頑張ってこい!!」

「「うん!!」」

 そして、先鋒のドルチェは俺の声でフィールドに通じる道を駆けていった。


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