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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
42章:実習生、予選でその力を振るう
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42-15


 そんなことを露とも知らないドラゴンが含み笑いを始めた。

「クックック……どんな特殊能力を使ったのかは知らんが……我に傷をつけるとはたいしたものだ……」

 実際は特殊能力なんて使用したのは、最初のアッパーカットの時のみで、他は純粋な優真の身体能力なのだが、なんか面白かったので、あえて言わないでおくことにした。

「こうなれば、我も奥の手を使うとしよう……このまま人間ごときにやられたと噂されてもたまらぬからな……」

(奥の手使うの早いな~)

 心の中でそう思いつつも、気分を害してあーだこーだ言われるのが面倒だった為、あえて黙って見とくことにした。

「見よ!! 我が主神、竜神様より授かった力!! 【狂竜化(バーサーク)】発動!!」

「……バーサーク?」

 ふらふらと立ち上がったドラゴンが、特殊能力を発動させたことで、黒に近い紫色のオーラが揺蕩い始める。

「この力は……理性が保てなくなる代わりに、一時的に戦闘能力を倍にする力……貴様ごときではすぐに塵芥とかすだろうが……良かったなぁ……腕輪があって……」

 直後に耳をつんざくような咆哮が放たれる。

 そのうるさすぎる声に耳を押さえていると、目が赤く光ったドラゴンがこちらに突っ込んできていた。

 しかし、優真はなんなくその攻撃をかわし、相手の横っ面に強烈な回し蹴りを叩き込んだ。

 その結果、相手の体は呆気なく吹き飛ばされ、結界に激突。ドラゴンは一瞬で光の粒となって消えてしまった。

「……2倍って……それで理性なくなった突進攻撃とか……なんか今まで見た特殊能力の中ではだいぶ残念な能力なのかもしれんな……まぁ、いつでも使えるってのは羨ましいけど……」

 着地した優真はそんな感想を抱く。

 残念なことに、2倍程度じゃ彼我の実力差は埋まらなかったようだ。例え埋まったとしても、優真が能力を使えば呆気なくその差は覆されるだろう。

 思った以上に呆気ない幕切れに困惑しつつも、すぐに切り替えることにした。なにせ、敵は彼だけじゃないのだ。戦闘直後の疲労しているところを狙うものだって少なくない。

 しかし、それは杞憂となる。

 先程の戦いで何が起こったのか、見えていた者はそう多くないだろう。むしろ、理解出来ない者の方が圧倒的に多い。それほどまでに圧倒的な力の差を見せつけたのだ。

 これ以降、優真相手に突っかかってくる者達は極端に減ることだろう。

 触らぬ神に祟りなし。

 残り5枠の内の1枠は埋まった。

 フィールド上にいる多くの眷族の頭に、その言葉が浮かんだ。

 

 そしてこの日、神達は優真の戦いぶりを見て、彼をこう呼んだ。『触れることの出来ぬ者(アンタッチャブル)』と。


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