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8-3

「……あの~、冒険者登録したいんですけど、受付ってここで合ってますか?」

 未だにいぶかしむような視線を向け続ける受付嬢にそう聞いたのだが、何故か考え込むような仕草をし始め、なかなか答えてくれない。

 新規登録者受付には、この受付嬢しかおらず、他は何人か人がいるにも関わらず、ここは一人だけなので、他の受付嬢の所に行くわけにもいかず、結局待つしかなかった。内心、早くしてくんないかな~、と彼女が声を発するまでの約1分間、ず~っと思っていた。


「あの~、一応聞くきまりになっておりまして、冒険者登録をする際にあたってこの国では身分を明かしていただきたいのですが……まずは、どこからきたのですか?」

「はぁ、それくらい構いませんよ。え~っと、すぐそこにあるカルナ村からきたごくごく普通の一般人です」

「…………お若く見えますが、現在おいくつなんですか?」

 あれ? 冒険者登録ってそんなところまで聞かれるもんなの?

「え~っと。後少しで20歳になります!」

 すると、20歳という言葉を聞いた瞬間、ギルド内が騒がしくなった。

 俺を指差して近くの者とひそひそ話を始める者、「おいおいまじかよ」と設置されたテーブルで俺を見ていぶかしむ者、さまざまな対応を見せる中で、ギルド職員が、警備兵を引き連れてきたことには、驚きを隠せなかった。

「あなたを逮捕します」

 と、いきなり腕を掴んできた警備兵が俺に向かって言ってきた。

 なんで年齢答えただけで、逮捕されなきゃ行けないんだ!

「こんなの不当だ! 冤罪だ~! 俺は無実だ~!!」


 しかし、そんな窮地から救ってくれたのは、ハルマハラさんだった。

「申し訳ありません。その者は、私共の村に住んではいますが、アルマイア聖王国の人間です。私の親戚で、先日事故で家族を失い、たった一人の親戚である私を頼って森を抜けてこの国へとやって来たのです」

「では、絶対にこの国の人間ではない、という確固たる証はありますか?」

「その髪をご覧なさい。この国の人間はだいたいが茶髪か明るい髪の色をしております。黒髪の人間など、アルマイア聖王国の人間である証みたいなものではありませんか」

 すると、質問していた警備兵が、俺の髪をまじまじと見始め、しまいには、断りも入れずに引っ張ってきた。

「……どうやら、正真正銘、黒髪のようです。染めた跡もありませんし、……地毛であることも間違いないかと」

「……そうか。勘違いをしてしまって申し訳なかったな青年。しかし、君にも問題があるよ。しっかりと出身国を言っておけば、こんな目にも会わなかったのだからね」

「……肝に銘じます」

 二人組の警備兵の年齢の高いと思われる方が、俺に向かって謝罪してくる。それを涙目で見ながら、反省したふりをする。

 未だに状況が把握できてないのに、反省なんて出来る訳ないだろ。

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