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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
42章:実習生、予選でその力を振るう
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42-7


「……皆殺気立ってんな~」

 優真は周りを見渡してそんな感想を抱いた。

 優真がスタジアムと勝手に呼んでいるこの建物も、外から見た時はドーム型だったというのに、空には雲一つない快晴が広がっており、カプセル状の何かが浮かんでいたりする。もはや、常識が追い付かない。

 しかし、時間は優真の味方ではない。こうして驚いている間も、設置されている12進法の時計は時を刻み続けている。

 試合開始の10時まで後1分になった途端、周りの声は無くなる。全員が息をのみ、開始の合図を待ち続ける。

 そして、10時になった途端、辺り一帯に鐘の音が鳴り響いた。

 

「……始まった」

 自分から仕掛けるつもりではなかった優真は周りが激しく衝突しあっている目の前の状況を見て、そう呟いた。

 空で衝突する者、武器も持たずに殴り合う者、魔法を撃ち合う者、戦い方は多種多様だった。

 しかし、優真はアイテムボックスから取り出した剣を腰につけておくだけで傍観している。

 戦禍の中にいるとは思えない程の落ち着きぶりはその戦場では異常な為、観客席にいる者達の視線が優真の方に集まっていく。

 戦おうとしない者がなぜ狙われないのかが大半の者達には不思議でならないのだろう。

 だが、優真の周りにいる眷族達は隙だらけのように見えていても、優真に手を出さない。いや、出せない。

 ファミルアーテの中で2位の位置付けにいる時空神の眷族筆頭、『先導者』パルシアス。そんな彼と先程仲良さげに話している場面を見たのだ。実力が低い者とは目を合わせることすらないと噂されているパルシアスが、だ。

 触らぬ神に祟り無し。動く気が無いのであれば、自分から死にたがる馬鹿でない限り、優真に突っ込もうとは考えないだろう。そう、そんな馬鹿でない限りは。


「ぼーっとしてんならさっさとくたばってくれや!!」

 優真が手で隠しながら大きく欠伸をした瞬間、腕が翼で出来ている眷族が跳びながら優真に向かって羽を飛ばした。

 しかし、優真がそちらを見ながら口角をつり上げた瞬間、優真の姿がそこから消えてしまった。

 目の前で起こった奇怪な現象に驚く鳥人だったが、体に猛烈な痛みが走ったことで目を大きく見開く。

 そして、鳥人の姿はそこから一瞬で消えてしまった。

「さっきも思ったけど、【勇気】って久々に使うと調子狂うよな~」

 着地した優真はそう言いながら抜いた刀を鞘に収める。

 一瞬で起こった出来事は神の目でも認識が困難で、その異常な光景は彼らを沸き上がらせるには充分なものだった。


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