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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
42章:実習生、予選でその力を振るう
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42-6


「ユウマって子どもなら見境無いの?」

 コロポックルのキクルに手を振っていると、後ろに見知った気配を感じた。顔だけ振り返れば予想通りの人物がそこにニコニコしながら立っていた。

「人を変態みたいに言わないでくれる? ……ていうかパルシアス、いい加減、人の背後にいきなり出てくるのやめろ……危うく攻撃仕掛けるところだったじゃねぇか」

「そんなことしたら失格になっちゃうよ~?」

「わかってるよ……だから攻撃しなかったんじゃねぇか……ってこんな話はどうだっていいんだよ。……なんでお前がここにいるんだよ?」

「そんなの、ユウマと大事な話があったからに決まってるじゃないか」

「……大事な話?」

 正直、こいつの口から聞く大事な話は、聞かなきゃ確実に後悔する話だから無下に出来ないのがムカつく。どうやら今回も黙って聞くのが得策のようだな。

「いやぁ、そんなに構えなくてもいいよ。今回は別に誰かが襲われるとかそんな話じゃないし……むしろ、ユウマにとっては魅力的な提案だと思うよ」

 その胡散臭い笑顔は何を考えているのかを見透かさせてはくれない。

「魅力的な提案……ねぇ。今お前がここにいるせいで目立っている時点で多少のことじゃ驚かんぞ」

「僕もユウマに協力してあげる」

「!!?」


 パルシアスの言葉はうまく理解出来なかった。しかし、協力という言葉が気にならない筈がなかった。それがパルシアスの思惑通りだとわかっていても聞かない訳にはいかなかった。

「協力ってのは……」

「もちろん。君のお友達を生き返らせるのに協力するって意味だよ。僕が優勝したら、僕は彼女の復活を望んであげよう」

 彼の言葉や表情を注意深く観察してみるが、少なくとも嘘はついていないように思えた。

「…………わからんな……お前がそれを望む理由が……」

 相変わらず心を読ませない笑顔で微笑んでくるこいつが腹立たしい。しかし、確かに彼の提案は魅力的な提案ではあった。

「……いや、お前が友情なんて理由で彼女を生き返らせるとか絶対にねぇわ。……だってそれだと()()()()()()()()?」

 そう聞くと、彼は愉しそうに口角をつり上げた。

「よくわかってるじゃないか。その通り、これは僕が望んだことじゃない」

「やっぱり時空神様か……そんなことして、いったいなんになるってんだ……」

「そこまで教える程、僕は不義理じゃないよ」

「あっそう……だが、どっちにしたって構わないよ。彼女は俺がこの手で生き返らせる。お前の手を借りずともな……」

「それを聞けて安心したよ……それじゃあそろそろ時間だね……頑張ってきてね」

「言われずとも……」


 ベンチから立ち上がった優真は、手を振るパルシアスの方に振り返ることなく開かれた巨大な扉の中に入った。

 

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