42-1
大きな門をくぐった優真の視界に先程まで無かったはずの会場が現れた。それは、全体がはっきり見えないような巨大なドーム型の建物だった。
「……これはさすがに……でかすぎだろ……」
そこが、今回『神々の余興』予選が行われる会場だった。
横幅、高さ、ここからでは見えないが、おそらく縦幅も規格外な大きさで、優真の顔は驚きを通り越して呆れ顔になっていた。
その近くでは、はしゃぐシェスカ、ファルナ、ドルチェの3人に注意を行っている万里華を含めた全員がこの場にいた。
「ここ以外に後7つも同じような会場があるって信じられないですよね……」
「ああ」
驚きを隠せないでいるシルヴィの言葉に、優真は短く肯定の言葉を返した。
「まぁ、予選が行われるのはこの会場だけじゃないからね。これからここを含めた8つの会場で本戦参加者を絞りこみ、その後ファミルアーテの9人を含めた計48人で本戦を行うんだってさ……だからまずは予選で残り5人の枠に入らないとね」
万里華が行った説明はとても分かりやすく、ルールを把握しきれいない俺には大きな助けになった。……ただ、女神様の隣で、自分のセリフとられた……と嘆いている天使の姿は……まぁ見なかったことにしよう。
「ルールを教えてくれてありがとね。助かったよ」
「ふふ、優真の力になれたなら良かったよ」
嬉しそうに微笑む万里華の姿に、緊張していた俺の心が暖まったような気がした。
「それじゃあ、俺は控え室に行かないとだから……ファルナ、ドルチェ、お姉ちゃん達の言うことを良く聞いて、皆を守ってあげてくれな」
「「うん!!」」
しゃがんだ俺がファルナとドルチェにそう言うと、二人は元気な返事をしてくれた。
二人の頭を軽く撫で、俺はこの場にいる人達の顔ぶれを見た。
俺の主神として俺の勝利を願ってくれている子どもを司る女神様と彼女専属の天使、ミハエラさん。
そして、幼なじみで女神様の天使兼俺の婚約者の万里華、同じく婚約者として眷族に名を連ねたシルヴィとユリスティナ。
シルヴィの妹で、眷族としてこの場にいるシェスカ。
麒麟様から預かり、女神様の眷族として加わった元四神候補のファルナ、ドルチェ、スーチェ、イアロの4人。
この場にいないが、ハナさんだって勝利を願ってくれてはいると思う。
『多くの人に支えられ、今の自分がある』
その思いを胸に、俺は控え室の方へと向かった。




