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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
41章:実習生、神々の挨拶に振り回される
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 笑顔も悲しい表情も、感情の類いを一切見せることの無い少女。それがメイデン・クロムウェルという少女だった。

 鉄の女神の命ずるまま、創世神の3柱が裁きを下した相手の処刑を行う『処刑人』の役割を担い、処刑の際も、眉一つ動かすことは無いというその様子から『処刑人形』とまで呼ばれるようになった。

 だからこそ、彼女に色んな表情を出させるようになった男の顔を是非見ておきたかった。

 唯一自分達に見せたことがある表情は嫌悪感。それだけに、眷族達は彼女を好意的には見ない。だが、自分のようなメイデンを最初の頃から知っている眷族は違う。

 彼女は表情を見せないんじゃない。

 彼女の表情は殺されたのだ。

 ずっと昔、彼女がこの世界に来たその時から……。


 ◆ ◆ ◆


「それでは、こーちゃん。次は頂点(てっぺん)をかけた戦いで会おう!」

「にししっ、うちの優真君がぼこぼこにしてやるから覚悟しとけよ!」

 夕暮れのように真っ赤に染まった天井の下、二人の女神は互いに右手を固く握り、別れを告げた。

「……やっぱりカリュアドスさん達とも戦うことになるんですね……」

「そうですね。ですが、我々はまず、予選に勝ち残らないといけません。ファミルアーテではないとはいえ、予選は猛者ばかりが集まる会場……油断すれば足元をすくわれますよ」

「……肝に命じます。それでは明日、お互い頑張りましょう」

「ええ、くれぐれも我々と当たる前に負けることの無いよう、お願いしますね」

 優真の差し出した右手を握り、安堵感を与える笑みを優真に向け、カリュアドスは鉄の女神と共に出口から外に出てしまった。


「……以前会った時は俺が弱すぎたんだろうな……」

 強くなってはっきりとわかる。カリュアドスという男は強い。少なくとも、森で戦ったネビアとかいう男を遥かに凌駕していると言っても過言では無いのだろう。

(……あの人に加え、メイデンさんという絶対的な存在……鉄の女神様の心配は……するだけ無駄だな……)

 彼らだけじゃない。パルシアスとエパルだって見た目からは想像も出来ないくらいの実力者だ。他にもハナさんや創世神の残り二柱の眷族も参加するし、未だに見たことがないファミルアーテと呼ばれる上位の眷族達も、強敵となって現れることだろう。

 だが、俺にだって負けられない理由がある。

 例え相性や実力で負けそうになっても、決して諦めない。

 絶対に頂きを掴みとってみせる!!


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