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40-3


「あたち、おじちゃんの為なら神々の余興(それ)に出るよ!」

 その発言で全員の視線が青髪の少女に集まっていく。

 唯一向けていないのは、ご飯に夢中のシェスカくらいだろう。

 その発言がどういうものなのかわかる者にとって、その発言が意外だったことは言うまでも無いだろう。

「一応聞くけど……意味わかって言ってるんだよね? ……ドルチェちゃん……」

「うん。神様のことはどうでもいいけど、あたちを救ってくれたおじちゃんが困ってるんでしょ? ならあたちがやる!」

「……優真……」

 ドルチェの目は真剣そのものであり、万里華もその目を見て自分がどうこう言う話ではないと判断し優真に判断を委ねた。

 そして、優真はかなり悩んでいる様子だった。


 戦力としてなら、この中でドルチェ以上に頼れる存在はいない。彼女と初めて試練をクリアしたあの日以降、俺以外の4人はそれぞれ自分達の長所を伸ばす修行をしていた。

 イアロは治癒能力、スーチェは防御能力、ファルナは敏捷能力、そして、ドルチェが攻撃能力を鍛えていた。

 その中でも、ドルチェは他を圧倒していた。元々、麒麟の爺さんといたからか、戦いかたがしっかりしていた。

 この世界に子どもだから大人が守ってくれる。なんて考えは存在しない。

 子どもは他の大人にとって非力で小さな同じ人種であり、搾取の対象にもなる。

 だからこそ、ドルチェは力をつけたのだと、俺は以前ドルチェから聞かされていた。

 そんなドルチェが戦力に成りうることくらい容易に想像出来た。まだ、予選を突破した訳ではないが、上位を目指すことだって夢じゃないだろう。

 だが、俺の中の保育士を目指す自分がその決定を止める。

 子どもを戦線に立たせ、失ってしまったあの過ちを、また繰り返してしまうのか。そう問いかけてくる。

 そんなのは絶対に駄目だ。

 

 俺の考えは彼女の提案を受け入れる訳にはいかない。

 それで決定になるはずだった。しかし、そんな俺の足元にファルナが顔を出したことで、その言葉を発する機会は失われた。

「えっ!? ちょっ……なになになに!? いやちょ待っ……」

 彼女は、脚の高いテーブルの中を移動したのかテーブルにかかっていたカバーをめくって俺の前に現れた。にっこりと笑顔を浮かべた彼女は、混乱する俺の膝に無理矢理座り始めた。


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