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「元々女神様が神になったばかりだからしょうがないんだけど……初めての眷族が優真だった女神様にとって、ここにいるメンバーだけが眷族なのね」
「なるほど! 要するにユウマ様以外の二人はこの中にいるメンバーから選ばないといけない……ということですね!」
「そういうこと。そんで優真は、皆に危険な目にあって欲しくないから駄々をこねてるんだよね」
「駄々って言い方は少し気に入らないが……実際、そんなところだ」
不貞腐れた様子の優真を見て、満足気な笑みを浮かべる万里華と異なり、ユリスティナはようやく事の重大性が理解できた。
子どもを司る女神の眷族に属する者は多くない。
眷族を束ねる役割兼、公の場において主神の隣に立たなくてはならない眷族筆頭。その役目を担った雨宮優真。
そして、彼の婚約者として、女神の眷族に名を連ねたシルヴィとユリスティナの二人。
そして、特殊能力を持つ眷族として、シェスカ、ファルナ、イアロ、スーチェ、ドルチェの五人である。
万里華とミハエラの二人は、女神の天使という位置付けにある為、眷族ではない。また、今回の『神々の余興』にも参加することは叶わない。
優真にとって、シルヴィとユリスティナが出るという選択肢は既に除外してある。戦闘能力のない二人が出れば、最悪死すらもあり得る。同じ理由でシェスカも出せない。
だからこそ、出せる可能性があるとすれば、ファルナ、イアロ、スーチェ、ドルチェの4人だけだった。ホムラを生き返らせる為には、4人の内、誰か二人には出てもらわなければならない。
それを優真自身もわかっていた。しかし、ふんぎりがつかない。
むしろ、自己満足に近い理由で幼き子どもを危険に晒そうとしている自分の浅はかさが憎い。
「……くそっ……いったい……どうしたらいいんだよ……」
「でもまぁ……予選は本戦と違って問題無いだろ? なにせこっちは優真君さえ出せば本戦行きは確定と言ってもいいんだからね」
「だが……本戦は最低3人必要なんだろ? それまでに新しい眷族を用意するのは無理じゃないか?」
「いやいや……眷族を野良で増やすことが出来る期間はとっくに終わってるよ。後出来るとしたら眷族をトレードしたりするくらいだろうけど……優真君だって誰かとお別れするのは嫌だろ?」
主神の言葉に頷く優真だったが、他に策がある筈もなく、主神が黙るのと同時に黙ってしまう。
そんな最中、一人の少女が手を挙げた。




