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「ふざけんなっ!!!」
席が一つだけ空いた食卓に怒声が響きわたる。その声に、全員がびくついた。いや、正確にはそうなると想定していた女神と、彼にその情報を伝えた天使ミハエラ以外の全員だった。
「しかし、それがルールで……」
「だからってそんなこと……到底受け入れられる訳ないじゃないですか……」
悔しそうな顔を見せる黒髪の青年は葛藤している様子を見せる。だが、彼以外の全員は彼程深刻に捉えていない様子だった。
さて、優真がなぜ苛ついているのかというと、発端は彼の"『神々の余興』とはどういう大会なのか?"という質問だった。それに答えたのは、子どもを司る女神の側近、天使ミハエラだった。
遅かれ早かれ、伝えなくてはならない情報、天使は彼の質問に答えた。
・ルールその1:眷族筆頭がファミルアーテではない神は予選に勝ち残ること。
・ルールその2:特殊能力、魔法の使用は可能とする。
・ルールその3:眷族は神に危害を加えることを禁ずる。
・ルールその4:最高神3柱の決定に反することなかれ。
・ルールその5:本戦はトーナメントとし、上位者の成績を鑑み、次世代のファミルアーテを決定する。
・ルールその6:本戦に参加できるのは眷族のみ、3名ずつ選出し、2本先取とする。また、選手や選出の順番を入れ換えることも可。ただし、当初予定されていた選手以外が参加する場合、その選手は1戦のみ参加を許す。
ルールその7:以上のルールを遵守したうえで神々を楽しませるような戦いを見せよ。
これがミハエラの伝えた『神々の余興』のルールであり、優真が納得いかないと言っている内容だった。
「……何が駄目なんですか? 至って普通の内容だと思われるのですが……」
ユリスティナが不思議そうな顔で優真に尋ねると、優真はその表情を曇らせた。
「……そうだね。別にルール自体は至って普通の内容だったし……ここならではのルールも別におかしな点はなかった……だからこそ、これを想定していなかった自分がどれ程考え無しだったのかを思いしらされたよ」
「……え~と……どういうことなんでしょう?」
「うちには戦える人が優真しかいないんだよ」
優真の回答をうまく理解できなかったユリスティナに答えを教えたのは万里華だった。




