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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
39章:実習生、創世神の一角と出会う
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 施設の方に入ろうと歩を進めていると扉の近くにある椅子に座っているユリスティナを見つけた。さっきの場所からだと植木のせいで死角になっており、見つけることが出来なかったようだ。この場所であれば間違いなく声は聞こえていただろうが……これじゃ気付けないのも無理は無いな。

 どうやら長時間歩きっぱなしで疲れてしまったようだ。彼女は座りながら寝ていた。

 元から運動をしていた訳でもなく、完全な箱入り娘の彼女にとって、乗り物に乗らないで自分の足で歩くということに慣れてはいないのだろう。

「……ここ、乗り物とか無いみたいだし……やっぱりユリスティナにはきつかったみたいだな……」

「そうみたいだね。いくら眷族になったからって、身体能力がどれくらい上がるかなんて個人差だしね。……でも、同じ距離を歩いても元気な子は元気みたいだね」

 隣に立った女神は、素足のまま段差用の階段を上がりきると、パイプ椅子で健やかな寝顔を見せるユリスティナの頬をツンツン突きながらそんなことを言い始め、突然、廊下の方向を見始めた。

 2階へと通ずる階段を駆け降りる音が聞こえ、俺も視線をそちらの方に向けた。

 直後に姿を見せたのは、嬉しそうな顔を見せるファルナだった。

「ただい……ま……ッ!?」

「おかえりなさい、お兄さん!!」

 10メートルはありそうな距離の廊下だったにもかかわらず、俺がただいまの一言を言い終える前に彼女は既に俺に飛び付いて来ていた。


 以前よりも速くなっていたその抱きつきに戸惑いつつも、優真はしっかりと彼女を受け止めた。

「ったく……お姉ちゃんっぽくなったと思ってたけど……ファルナはいつまで経っても子どもだな……」

 やれやれといった風に言いながらも、優真の顔は笑みを見せていた。

「うん。僕ね、お兄さんが大好きで居てくれるなら、子どものまんまがいい!」

 ファルナは嬉しそうに尻尾をフリフリさせながら、笑顔でそんな嬉しいことを言ってくれる。

「はは……別にファルナが大人になっても子どものまんまでも俺がファルナを大好きであることは変わらないよ」

「えへへ~」

 俺の言葉で頬擦りしてくるファルナに気を取られていると、いつの間にか起きたユリスティナと彼女におんぶされている女神様がこちらをジト目で見ているのが横目で見えた。

「……悪いな、ファルナ。これからお兄ちゃんは行かなくちゃいけないところがあるんだ。また後で遊ぼうな」

「いいよ~」

 了承してくれたファルナを下ろすと、ファルナはシェスカ達が遊んでいるのに気付き、そちらの方に向かっていった。


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