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38-9


 優真が女将姿の天使に案内された場所は、宴会場や客間などではなく、屋上にある庭園だった。

 色とりどりの花に囲まれた場所に立っていた人物を見て、優真は天使に謝意の言葉を告げ、一人で扉を開けた。

「やぁ、お疲れ様」

 優真の存在に気付いた青年は振り返り、再会を喜ぶような笑顔を優真に向けた。

「お疲れ様じゃねぇよ。こっちがどんだけ死ぬ痛みを味わったと思ってんだ……」

 優真はその青年に近付きながらそうぼやく。

 黄色に近いクリーム色の髪と耳ピアスが特徴的な一見チャラそうな青年。しかし、見た目で侮れば痛い目を見る。何故なら彼は時間と空間を司る女神の眷族筆頭を務める男なのだから。

「その様子じゃ結構やられたみたいだね」

 軽く笑いながらそんなことを言ってくるパルシアスに、優真は怨みを込めた目を向ける。

「お陰様でな。毎日毎日容赦ない攻撃が飛んできたから、最近じゃ多少の攻撃は傷みすら感じなくなってきたよ……てかどんどん人間離れしてる気がする……」

「普通の人間は殺されて生き返るなんてされたら発狂間違いなしさ……でも、修行はどうやら無駄じゃなかったみたいだね?」

「なんなら試してみるか?」

 急に真面目な表情を見せたパルシアスに、優真はそう返した。

 優真の挑戦的な発言に、パルシアスは楽しそうな笑みを浮かべるが、急に耳を押さえ始めて何かに謝罪し始め、げんなりした表情を見せた。

「ダメだってさ……ちゃんと言われた仕事をこなせって女神様に怒られちゃったよ……」

「あっそ……というか用件を早く話せよ。ここ寒いんだよ……」

 現在は12月29日。日本と同じような季節配置で、現在は冬。そして、今は夜でここは屋上。風は無いが、結局寒いことに変わりはないのだ。

「そうだね。ユウマに女神様から言伝てを預かっている。僕が君とここで戦って君の実力を見てから判断する予定だったんだけど、女神様は君を見た瞬間、呆気なくそれを伝えていいと言ってくださった」

「……例の件か?」

「ああ! おめでとうユウマ!! 君に直接会いたいと僕の主神『時間と空間を司る女神様』が仰られた!!」

 そう言ったパルシアスは、1枚のカードを優真に投げた。そこには一言『君と直接会えるのを楽しみにしてるよ』と書かれており、優真がそれを受け取って読んでいる隙に、パルシアスは花弁を散らしながらその場から綺麗に姿を消した。

 

 これにて38章は終了となります。

 次章で、優真達は次の舞台へと進みます。

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