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数分の間、ずっと泣き続けていたドルチェの頭を撫でていると、彼女の服から1通の手紙が落ちてきた。
それを俺が拾った瞬間、ドルチェは泣くのを我慢して、その手紙が麒麟の爺さんから俺に宛てた手紙だということを教えてくれた。
それを聞いた俺は、座り直してからその手紙を読み始めた。
『雨宮優真君
君がこの手紙を読んでいる時、その内心は驚きで満ちていることじゃろう。先ずは謝ろう。
別れも言わず、勝手に君をそこに送ったこと、本当にすまないと思っている。そして、願わくば君に一つ頼み事がしたい』
「……頼み? 爺さんが俺に?」
その言葉が気になり、見ていた手紙の続きを読んだ。
『頼み事というのは他でもない。ドルチェ、イアロ、スーチェの3人を君に託したいのだ』
「は……はぁああああ!!?」
いきなりすぎる内容に俺は驚きが隠せず、大声で驚いてしまうが、その瞬間、ドルチェがびくつき、すぐに落ち込んだような顔になったのを見逃さなかった。
ドルチェが言った内容は自分達から解放される。要するにこの手紙と内容が真逆なのだ。訳がわからなくなってくるが、それでも手紙の続きを読まないと最終的な判断は出来ないと思った。
『もちろん、理由も無しに頼むつもりはない。元来、神獣族とは、わしの眷族を生み出す種族じゃ。それぞれ数百年に一度【神獣化】という特殊能力を持った者が産まれてくる。その者達が一人前になった時、わしの眷族として覚醒する。それが神の定めた絶対的なルールなんじゃ。
じゃが、自分の欲を優先して動く害悪な人間達によって、ファルナは資格を剥奪された。前代未聞な事態にわしは全力を以て対応するも、その子達だけは救う事が出来んかった。
その子達から眷族になる未来を奪う。
それが獣人族にとって最善の方法であり、その子達にとって最悪な方法じゃった』




