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7-1

 3時間のモンスター狩りと称した修行。動かないモンスターにひたすら、この5ヶ月で磨いた剣技を当てていくという修行を行った結果、アイテムボックスの中に約300匹分の素材が集まるという想定外の報酬を得た。

 最初は躊躇いがあったからか雑だったにもかかわらず、この成果によって、相当剣の腕も上がった気がする。まぁ、他にも色々と収穫もあったしな。


 さて、あれから一晩が経ち、ハルマハラさんから早朝の修行を休みにしてもらえた俺は、この村の村長さんに会いにきていた。

 この村がこの世界でどれくらいの規模かはよくわからないが、結構大きい方だと思う。

 そして、保育所からそんなに遠くないところにある一軒家、そこが村長宅だった。この村では保育所を除けば、一番大きな家ではあったが、日本の家に比べると平均かそれより小さい家だ。

(……まぁ、俺が住んでる小屋に比べれば充分大きいんだがな)


 さて、何故俺がこんなところに来ているのかと言うと、ハルマハラさんに魔法というものを教えてもらった際、大きく関与してくるのが信仰している神だということで、彼女(女神様)について詳しく知る人物に話を聞きたかったからと言うのが半分、それと魔法の詳しい効果を教えてもらおうと思ったからである。

 ちなみに効果の範囲や詳しいところは使ってみないとわからないそうだ。

 昨日帰って聞いた話なのだが、眷族()は信仰する神を変えられないらしい。

 要するに火の魔法も氷の魔法も使えないということだった。…………辛い。


 家の前に着いた俺は、家の扉にノックすると、玄関から一人の女性が現れた。

「村長さんに用があって来たのですが、今よろしいでしょうか?」

 その人は「少々お待ちを」と言って中に戻っていった。

 しばらくすると、遠くの方で村長さんのこえが聞こえてきた。どうやら庭に出ているようだ。


「やぁ、いらっしゃい。ぜひ、ゆっくりしていってくれ」

「お久しぶりです、マーカスさん」

 マーカスさんは、茶色の髪を丁寧に整え、知的な印象を与える眼鏡をかけており、痩せ体型で頼りない印象を最初は抱いたが、村人からの信頼はかなり厚い若い男性だ。

 あまりに病弱な体ではあるものの、その知識量は村一番と呼ばれる程だった。

 村長ではあるものの、外に出ることも難しい彼のために、婆さんが村長代理を務めているらしい。

 若いとは言ったが、それはこの村の男ではということで、俺と比べれば10歳も年が上で現在三十路の優しそうな人だった。

 病弱の男では立派な兵士になれないということで、それを免れた人物でもある。

 この村に正式に住まわせてもらう際、一度挨拶に来たが、食えないタイプという印象を俺は受けた。


 庭にいた村長は、安楽椅子に座って、小さな鳥を肩に乗せていた。

 小鳥は俺が近付くと大空へと羽ばたいてしまった。

「……それにしても君がここに来るなんて珍しいですね。何かご用でしょうか?」

「突然お邪魔してすいません。本日はマーカスさんに聞きたいことがあってきました」

「聞きたいことですか? 私にわかる範囲であればお教え致しますよ?」


 マーカスが、ベルの取っ手を掴んで鳴らすと、先程の少し年老いた女性がやってきた。マーカスは使用人姿の女性(侍女)に頼んで優真と自分の前にお茶を用意させた。

 優真は用意してくれた侍女とこの村の村長(マーカス)に礼を告げると、そのお茶に口をつけた。


(正直、紅茶はどちらかと言うと苦手なんだけどな~。でもやっぱり出されたものに口をつけないのは失礼だよな~。…………うへ~にが~)

「ふふっ、顔に出てますよユウマくん。どうやら君は紅茶が苦手なようですね。村人を守った英雄の意外な弱点発見ですね」

「……すいません」

 マーカスは、苦手なものを我慢して飲む優真の姿に笑みをこぼしていた。

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