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投稿ペースの関係上、後2話分もらいます。
「くそっ!! なぜこの俺がこんなところに入れられねばならない!!」
石のレンガで造られた簡易的な部屋で男は叫ぶ。1面だけ鉄格子のその部屋は、王族の者には似つかわしくない部屋だった。
(……それもこれも……全ては奴らがしくじったせいだ! こっちはあのクソババアを絶対に始末するって言うから鍵まで貸してやったんだぞ!!)
皇王の暗殺……その罪を王位継承権が2番目と公表されているカルアーデに被らせる。
そうなるように動けと命令したにも関わらず、結果は王都に多大な損害を撒き散らし、城内まで荒らす。終いには二人とも無事だというではないか。
全てが計算外……挙げ句にこうしてみすぼらしい牢獄に入れられている。
(この俺をこんなところに入れたこと……絶対に後悔させてやる……)
そう考えた時だった。
上から悲鳴が聞こえた。
「……ようやく来たか……」
カルバチョフがにやつきながらそう呟くと、石の階段を誰かが降りてくる音が聞こえた。
「こんばんは、カルバチョフ殿下……いえ、今はただのカルバチョフでしたね」
階段のある方向から石畳を歩く音と共に現れたのは黒い服の男性だった。
そして、月明かりが格子付きの窓から差すと、その男の姿がはっきりと見えた。
「お前は……まさかこっち側だったのか?」
驚きの色が伺えるカルバチョフには、その男性に見覚えがあった。
白く短い髪を綺麗に整えたスラッとした長身の青年、手には白い手袋を着けているが紅い斑点が見える。微笑んでいるが、その奥にある感情は一切伺えない。
そして、見間違いでなければこの青年は、この城で執事をやっている者だった。
「別に貴方の味方ではありませんよ? うちに高額の資金を投じてくださり、尚且つ面白そうだったからうちの協力者も乗り気だっただけです」
「……そうかよ。だったら早く俺をここから出しやがれ!!」
「いえ、その前に貴方に会いたがっている者がおりまして……先にご紹介させていただきますね」
執事の青年がそう言って指を鳴らすと、青年の隣に黒い渦が出現し、そこから一人の人物が現れた。




