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36-18


 私達に笑顔を向けている癖に、この人はいつも赤色が濁っていた。暗い感じの青色に侵食されかかっており、なぜだかこの人の色を私は見たくなかった。

 でも、ファルナちゃんに私が遅いって言われた時、この人の色はおかしかった。いつもどこかにあった青色が、その時だけは見当たらなかった。真っ白だった。

 濁りのない純粋な白色。初めてこの人の色が綺麗だと感じたし、優しさに溢れていて、言葉は裏腹のない答え。なんだか暖かい気持ちになった。

 そして今も、白色が見える。だけど、徐々に青色で塗り潰されそうになっている。

 青色は死やそれに関連した悲しみを抱いている時に見せる色……そして、私がこの世で一番嫌いな色……。

 この人の色が……私の大好きな色が……嫌いな色で塗り潰されてく。


「……そんなの……絶対やだ!」

 そう答えた瞬間、自分の姿が何かに変化していくのを感じた。いつもと視線の位置が異なり、なにがなんだかわからなくなってしまう。だが、やるべき事は自然と頭に思い浮かんできた。

防壁の甲(カトルバス)!!」

 それが何かは不明だが、それに賭けることしかスーチェには出来なかった。だが次の瞬間、四方八方から飛んできた鋭い針が自分達の周りに出来た半球体の何かに阻まれ、全て地面に転げ落ちた。


 訳がわからなかったスーチェではあったが、皆を守れたことで危険な状態の優真に視線を向けた。

 そこには、再び朱雀の姿になったイアロが優真の体を燃やし、片っ端から刺さったままの針を泣きそうな顔で抜いているファルナの姿が映った。

 二人の色は信頼や悲しみ、助けたいという思いを表現した色で少し濁ってはいたが、なんだかとてもいとおしく思えた。だから、優真のことは二人に任せて自分は本気でここを守ると決意した。


 スーチェが【神獣化】した結果、スーチェが展開した防御壁は、一度も破れることなく、残りの5分間、数千本の針を1本たりとも仲間には触れさせなかった。


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