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36-15


『これより、第3試練針の間を開始いたします。5人の中で誰か一人でも生命が停止した場合、試練の間から強制的に退室させていただきます。それではこれから1時間、全力で守りきってみてください』

 アナウンスの声が聞こえ、俺の神経は研ぎ澄まされていく。後ろに守るべきものを背負って戦うことは何度かあった。だが、今回はいつも頼りっきりになっていた特殊能力は無しだ。要するに、攻撃は止まらない。

「……だからといって、諦めるなんて選択肢はハナっからないんだけどね!」

 試練開始の合図が空間内に鳴り響く。

 直後に察することが出来た攻撃は左右2本ずつの棒……おそらく針。特殊能力で培ってきた瞬時に状況を把握する力と、対応の速さ。【勇気】無しなんて狩りでやりなれてる。

 今更、数本の針程度じゃ俺は死なない。


 こちらに向かってきた針を正確に叩き落とし、俺の意識は次に移る。1時間という時間制限がある以上、わかってはいたことだが、この攻撃はこれで終わりじゃない。

 今度は前から5本の針が飛んでくる。

 長さ20センチ、直径10ミリ程度の針は、意図も容易く落ちる。何かが塗ってあるようにも見えないし、殺傷能力の高い普通の針だと判断できた。

「この程度じゃ、修行にもなんねぇなぁ!」

 刀で針を叩き落としながら、そんなことを言い始める俺だったが、それは空元気に過ぎなかった。

 まだ2度目だというのに、針が来る波の間隔が5秒程度しかない。体勢を立て直すにも、時間が少なすぎる。

 しかも、次の攻撃は6本に増えていた。

 もし、このまま1本ずつ増やされれば……そう考えると、余裕が保てるのは時間の問題だろう。

「ちっ……やはり今度は7本か……」

 これだけ間隔が短いとなると、序盤は本当に体力を温存した方がいいだろう。

 まだ確定した訳ではないが、俺を何千回と殺し、試練前に心を折ってくるあの爺さんが緩い試練を出すとは到底思えない。

(……ここは予想よりも上を考えた方がいいだろうな……)


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