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道中色々とあったが、ようやく第2試練の場に着いた。
しかしながら、先程とは違って、何か書かれた看板があるだけだった。先程のこともあり、俺はイアロを近くの木に寄りかからせて、試練に挑む。ちなみにスーはドルチェをイアロと同じ木に寄りかからせた後、自分自身も木に寄りかかり始めた。相当疲れたのだろう。ファルナは、試練前にお手洗い行ってくると言って、俺から少し離れた場所に移動してもらった。少女のトイレを覗く趣味は俺に無いので、容器に入った水とタオルを渡しただけだ。
さて、そんなことよりも試練だ。
先程の件もあるし、今度は準備をしっかり整えてから始めるとしよう。
そんな訳で看板を読んでみた。
『第2試練は林檎の試練、この森のどこかにある林檎を食べれば試練クリアである。ちなみに、ここより上には結界があるため入れない。諸君らの健闘を祈る』
(…………バカじゃねぇの?)
それが俺の率直な感想だった。
そもそもここまで来るのに3時間近くかかってる。移動時間は2時間程だが、それでも真っ直ぐな道のりだ。山全体とは訳が違う。
それをこっから下にある林檎を探せというヒントだけでやれと言うのだから絶望的だろう。
剥き身か、箱に入ってるのか、はたまた木になっているのか、見逃せば終了不可能とも言えるこの試練は俺の心を折るには充分な内容だった。
(無理だってば……俺だけでも絶対不可能と思えるこの試練に、子どもを背負って探せ……はは……なんか笑けてきたわ……疲れがどっと来やがった……)
両膝をつきながら、項垂れていた俺は誰かが近付いてくる気配を感じた。
「お兄さん、大丈夫?」
「……ファルナか? 戻ってきてたのか……」
横から声がかけられ、顔を上げる気力すら湧いてこない俺は地面を見ながら、そう答えた。だが、彼女の大丈夫という質問に大丈夫とは言えなかった。
「うん! さっきね……」
「ごめんな、ファルナ。今ちょっと疲れてるんだ。ファルナもここまで歩きだったし疲れたろ? スーちゃんと一緒に休んどいで」
「……わかった……」
ファルナの返事を聞き、俺は彼女に「ありがとう」と短くお礼を言った。そして、体を休める為に木の根元まで移動して、木にねんかかった。
これからどうするか。
それを考えようとした瞬間、隣にファルナが寄り添うように座ってきた。




