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36-6


「……おじさん大丈夫?」

 手を握っていたイアロが荒い息を吐く俺を心配してくるが、子ども達の前で笑顔を絶やさないように気をつけている俺には大丈夫と答えることしか出来なかった。

「……少し休憩したいところだけど……こんな怪しげな空間じゃ何が起こるかわからないし……とりあえずここの試練をクリアしないとな……」

 息を切らしながらそんなことを言うが、本音はかなり休みたかった。だが、四方を10メートル感覚で囲まれた岩の部屋には何も見つからない。この中で一番疲れている俺が四方を警戒しなくちゃいけないのならこんなところで休憩出来る訳がない。

「……にしても、スーちゃんはいつになったら起きてくれるのかねぇ……自由に動けないんじゃ試練を受けようも無いんだけど……」

「ねぇねぇおじちゃん! こんなところになんかあるよ?」

 爆睡中のスーが起きないことに頭を悩ませていると、近くでドルチェの声が聞こえた。

 意識を切り換えてそちらを見てみると、ドルチェの指が差すところにボタンがあった。

 そこには『試練開始』とこの世界特有の言語で書かれていたため、そのスイッチを押すことで試練が始まるのだと一瞬で理解した。要するに、スイッチを押すまで試練は開始されない。つまりおもいっきり休める。

「でかしたドルチェちゃん! これで少しは休めるな! 絶対にそのボタンには触れるなよ!」

「え?」

 俺は急いでドルチェにそう指示を出したのだが、彼女はこちらに顔を振り向かせると同時にボタンを押した。

「ちょっ!!? なんで押してんの!!」

「なんか面白そうだったから?」

「何故に疑問形!?」

 ドルチェの奇行にツッコミを入れるが、それどころでないと知るのは、アナウンスが流れたからだ。

『これより試練が開始されます。これより試練が開始されます。挑戦者の皆様は頑張って乗り越えてください。第1の試練は、毒の間です』

「毒の間? 基本能力を上げるんじゃないのか?」

 女性の声で流れたアナウンスに戸惑いが隠せない俺は、背後にあった扉が急に閉まったことで、頭を自動的に切り換えた。

 直後にスイッチの付近にある隠し蓋が開かれ、中から羽音を立てる小さな虫が大量に現れた。

「くそっ、よりによって蜂かよ!! 来い紅華!!」

 発動させたアイテムボックスは、俺の声で腰に一本の鞘に入った刀を出現させた。


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