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36-5


 こうして、俺達5人は巻物に書かれていた山に移動した。

 道中は罠とかもなく、子ども達の楽しそうな声を聞きながら、スタート地点に着いた。

 そこには1枚の看板が立て掛けてあった。

「……え~なになに……ここから先は4つの試練があり、そこをクリアして頂上の宝をゲットしてみせよ……ねぇ。この試練が昨日言ってた修行なんかね……」

 手っ取り早く強くなる修行をつけてもらいたいが、初日に文句は受け付けないと言われているため、俺にはこれをするしかない。

 だが、やってもいないのに下らないと考えるのは早計だろう。それに、子ども達はやる気満々だ。

「ねぇねぇお兄さん、早く行こ!!」

 ファルナが俺の服を引っ張りながら、楽しみにしているのが丸わかりの表情でそんなことを言ってくる。

 まったく……そんな顔を見せられてはやらないなんて言えるはずないじゃないか。


 第1関門と思われる場所に着いたのは、スタート地点から歩いて30分が経った頃だった。

 正直に言おう。めっちゃ疲れた。

 まだ何一つ試練が行われてはいないというのに疲労がたまったのには理由があった。

 まず、はしゃぐファルナとドルチェがガンガン先に進んで行くのだ。山は自分のペースで行った方がいいというのに、しょっぱなから猛スピード。後の体力とか絶対に考えてないだろと突っ込みたくなる程速い。そんな彼女達に俺だけなら着いていけたが、生憎そう簡単な話じゃなかった。

 保育士の実習で遠足に行った時、俺が気付いた事実。それは子ども達のペースは一緒じゃないということだ。

 何を当たり前なことをと言われるかもしれないが、正直見てみないと実感できないと思う。

 子ども達にとって、ペースを合わせるというのは簡単なことじゃないからだ。

 子ども達の歩幅やスピードは十人十色。手を繋いでいても、それを合わせるのは至難の技。気付けば、前と距離が空いてたなんてことは何度もあった。

 だからこそ、保育士は傍に居なくてはならない。それをこんなところで実感させられた。

 第1にスーがマイペース過ぎた。

 まったく前に進んでくれないし、気付いた時には木の下で寝始めるのだ。そんな彼女を放っとく訳にはいかず、根気よく起こそうとするも、なかなか起きてくれない。前しか見てないファルナとドルチェから目を離せば迷子になる可能性が出てしまうため、その度に大声で呼び止めるしかない。

 結局、熟睡してしまったスーをおんぶして進み始めるが、スーを背負いながらだと二人のスピードに合わせられない。

 そして、そのスピードについていけなくなったイアロが俺に手を繋いでと要求してきたため、ペースを乱されまくった俺は疲労がたまったのである。


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