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現状を整理しよう。
さっきからやたら体を擦りつけてくるファルナに関しては、まぁいつも通りだからそこまで苦じゃない。むしろ、なついてくれている証としてこれほど嬉しいことはない。
だが、他の3人が異常にめんどくさい。
まず朱雀族のイアロ。
彼女は翼がお湯に触れると激痛が走るため、特殊なタオルを体に巻きつけないといけないらしい。別に少女の身体に興味がある訳ではないので、そこは別にどうでもいい。俺だって腰にタオルくらい巻くしな。問題は声がかなり小さいことだ。さっきから、俺の遠くでぼそぼそと何言っているのかがまったくわからない。近付くと顔を真っ赤にしてどっかに逃げていく。一番、話が通じる彼女がこれでは、正直お手上げ状態だ。
次に玄武族のスーチェ。
彼女はさっきからやること成すことが遅い。こればっかりは子どもであるならば、得手不得手はあると理解しているから問題はない。マイペースな子だと思うことにした。ただ、彼女はすぐに寝ようとし始める。頭を洗っている最中に寝たり、気付いたら床板の上で丸くなって寝ていたり、しまいには風呂の中で寝始めていた。玄武族の特性として見た目に人間との違いはほとんどないが、水の中でも関係なく生活でき、なおかつ、水中に入ると水掻きが手のひらにできるらしい。無事だとわかっても、心臓に悪いから是非やめてもらいたい。
最後に青龍族のドルチェ。
正直言ってこの子が一番手がかかる。濡れた床板を走り回るし、止めても数秒後にはやり始めてこける。身体を自分で洗ったことがないとかで、俺が洗うことになったんだが、じっとしていてくれない。イアロのタオルを剥がそうとするし、水中で寝始めたスーチェの口と鼻を押さえて喧嘩をし始める。正直勘弁して欲しい。
(……まじで万里華の不在が辛い……あいつ、子ども達の心掴むのうまいから子どもも簡単に言うこと聞くもんな……)
そんなことを考えていると、いきなり大きな悲鳴が風呂場に響いた。




