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「本当にごめん」
俺は箸を置いて彼女達3人に対して正座のまま頭を下げた。
眠そうにゆっくりと食べていたスーも、二人で何かを話しているイアロとドルチェも、俺の方に目を向けてくれていた。
「どうしたの~? いきなり頭なんか下げちゃって~? あ、もしかしてようやくあたちの凄さに気付いて頭下げちゃったの?」
「はは……ちょっと違うかな。ただ、元同じ人間として、人間の身勝手で君達を家族から引き離してしまったことをどうしても謝りたい。きっとそう簡単には納得出来なかったことが多いと思う。自分は何もしていないのに、勝手な理由で親から引き剥がされる。そんな理不尽を味わわせてしまってすまなかった」
彼女達は突然の謝罪に困惑している様子だった。だが、何か頷きあった後、ドルチェが代表して口を開いた。
「別におじちゃんが悪い訳じゃないんだから謝らなくていいんだよ? でもね、おじちゃんがどうしてもって言うんなら、ドルチェ達のお願い……聞いてくれる?」
彼女は正座の姿勢を崩して、こっちにハイハイで近付いてくる。
「もちろん。俺に出来ることならなんだってするぞ?」
その言葉を聞いた瞬間、彼女は満面の笑みをこちらに向けてきた。
「じゃあさ、じゃあさ! あたち達と一緒に寝てよ。ファルナちゃんも一緒でいいからさ! ねっ、良いでしょ?」
疲れて眠っているファルナに人差し指を向けたドルチェは強引に聞いてくる。
「……そんなんでいいの?」
それは目の前にいるドルチェにではなく、彼女の後方にいる二人の少女に聞いたものだ。
「は……はい、ボクも一緒にお願いします」
「……ん……」
二人の少女はそれぞれ肯定的な感じだが、彼女達もきっとなにかしらの思惑があって、そのお願いをしたのだろう。それに、彼女達が望むことで俺に出来ることの方が少ないのかもしれない。
「そっか……俺でよければ喜んでご一緒させてもらうよ」
俺の返事を聞くと、彼女達はそれぞれ笑顔を向けてくれた。




