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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
35章:実習生、新しい子どもと出会う
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35-2


 目を開けた時、そこには見知った少女がこちらの顔を覗きこんでいた。

「やった! お兄さん、起きた!!」

「……ファルナ?」

 訳がわからなかった。ファルナはまだ目を覚ましていなかった筈だ。

 パルシアスが居なくなった後、ミハエラさんがホムラの肉体が損壊しないよう管理を任せてくれと言ってきた。その時に、ファルナは傷が深すぎて、予想以上に難航していると聞かされていた。

 そんな彼女が、目の前で笑顔を浮かべている。意味がわからなかった。

「ねぇお兄さん、さっきうなされてたけど怖い夢でも見てたの?」

「……うなされてた? ……俺が?」

 上半身を起こしながら言ったその言葉にファルナが頷いたのを見て、俺は記憶を探ってみた。しかし、俺にはなんの夢を見たかなんてさっぱりだった。

「……どんな夢だったんだろ……また火事の夢だったのか? でも、あの夢って見た後も記憶はちゃんとしてた気がするんだけど……っていうか夢の話なんかより、ファルナは怪我とか大丈夫なのか? めっちゃ心配してたんだぞ!」

「ありがとっお兄さん。僕は大丈夫だよ」

 可愛らしい笑顔でそう言ってくれたファルナの姿を見て、ほっと胸を撫で下ろす。彼女の怪我の具合はずっと気になっていたことだ。彼女の傷がすぐに治って本当に良かった。

 傷の治療をしてくれたミハエラさんには感謝しかない。

「……そっか、ファルナが生きていてくれて本当に良かったよ。それでもこれからは気をつけるんだよ。この前みたいにいつ襲われるかわかったもんじゃないからな」

「は~い!」

「よし、……ところでずっと聞きたかったことがあるんだけどさ~」

「なぁに?」

「……ここどこ?」

 ここは板壁に板張り床という完全な木造建築で、俺がいるのは床に敷かれた布団の上だった。カルナ村に住んでた時に使っていた家によく似た造りだ。上にはランタンのような形の明かりがあるし、囲炉裏も近くにある。それでも一つだけおかしいものがあった。窓が一切ないのだ。まるでここがどこかをわからせないようにするかのように外を確認できるものが一切なかった。

「……どうやら体は無事みたいだな……」

 拳を握ったり開いたりして感覚を確かめてみると、異常なまでに調子が良かった。ここ数日の疲労がまるで無かったかのように感じてしまう程だ。それに、あの化け物と戦った時の傷も完全に治っている。

「……俺ってどんだけ寝てたんだ? ……というか一日二日じゃ、あれの後遺症は完治しないと思うんだが……」

 訳がわからない状況に俺が困惑している時だった。

 急に外へ出るためのものだと思われる引き戸が開かれた。


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