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34-8


「十華剣式、弐の型、白百合の舞い!!」

 明らかにこちらを舐めてかかっている目の前の化け物に、俺は白百合の舞いを叩き込む。いくらなんでも、こちらに敵意を向けず、ましてや防御の姿勢をとるつもりも無さそうな相手を殺すのは気が引けた。そのため、この技を行使した。

 高く飛び上がり、その馬のような脚目掛けておもいっきり剣を叩きつけた。だがーー

「その程度が貴様の本気か?」

 叩きつけた刀は簡単に弾かれ、そのまま、目にも止まらぬ速さで体を蹴られた。

 込み上げてきた血を口から吐き出し、勢いのまま後方にあった樹木に叩きつけられる。しかし、蹴られた勢いは樹木1本では到底止めることが叶わず、10本ほど折ると、ようやくその勢いは止まった。


「……くそがっ! なんだあの化け物……攻撃力も防御力も桁違いすぎる!! ……それにしたって未だに通信の調子が悪いのか?」

 どうにか立ち上がるも、込み上げてくる血を吐くだけでまともに動ける状態ではなかった。

 木に阻まれて、あの化け物は視認できない。あいつの情報を知るなら今しかないというのに、一向にミハエラさんも女神の奴も返事をしてこない。

「……いっそのこと【勇気】に頼るしかないのか? ……いや、【勇気】に頼ってばかりじゃ俺の成長は見込めない。……そうだよ。ポジティブに考えろ。こんだけ強いモンスター相手なら、俺は確実に強くなれる! 最高の相手じゃないか!!」


 衝撃で麻痺しているのか体がほとんど自由に動かない。だが、全部が動かない訳じゃない。脚に力を込めれば、多少は走れるはずだ。

 こういう時に【ブースト】で治癒力を倍増できれば、こんな傷だってすぐに治るだろう。だが、今は無い物ねだりをしたって仕方ない。今のままだと、俺を探しにきた化け物に殺されるのは明白だ。

 だからまずは、どうにかして奴から隠れるんだ。

「時間さえあれば【ブースト】無しでも自然治癒でなんとかなる。……まぁ、眷族の体になってなかったら、既に死んでるか、良くて全身複雑骨折になってただろうけどな……」

 後ろからは気配を感じない。だが、それでも足を止める訳にはいかず、1キロ走ったところで痛みに耐えきれなくなり、近くにあった木を背に腰をおろした。


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