表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
492/970

34-6


 事件が起きてから10日の月日が過ぎていた。いつものようにモンスター相手に特訓をする優真であったが、彼は集中しきれないでいた。

 原因は、ホムラの死に引き続いてメイデンが彼の元から去ったことである。

 優真は元々、心が落ち着きを取り戻したら、メイデンに稽古をつけてもらおうと考えていた。彼女に試合で勝ちはしたが、地力は彼女の方が遥かに上だと感じていた。

 眷族の中で3位の位置付けにあるハナに関しては、特殊能力以外があまりにも酷かったから、メイデンに頼もうとしていた。

 しかし、メイデンは優真の元から去り、その計画は頓挫した。何よりも、メイデンの力に再び頼ろうとしていた自分の甘さに、むかついていたのだった。


「……くそっ! ……足りない……もっと……もっと強い相手じゃないと!」

 初めて見た時に逃げることしか出来なかったタイラントグリズリーでさえ、もはや話にもならない。昔は頼りっきりだった特殊能力【勇気】でさえも、使う機会は極端に減った。自分が強くなっているのはわかる。だが、この程度じゃ時空神に会うことすら叶わない。ホムラを生き返らせるなんて夢のまた夢だ。

「!? なんだこれ?」

 倒したモンスターをアイテムボックスに転送していると、いきなり変な気配を感じた。

 関わるのは危険だと姿すら見えないにもかかわらず、本能が訴えかけてくる。だが、そいつと戦うことで強くなるかもしれないと思った俺は、急いで気配を感じた場所に向かった。


 ◆ ◆ ◆


 それはこの森で多くのモンスターを狩ってきた優真ですら、初めて見るモンスターだった。大きな湖の付近で体を丸めて寝ている巨獣。全長は丸まっているせいでわからないが、軽く20メートルはありそうで、頭は狼でありながら角があり、体はどことなく鹿のように思えた。

「あれってキマイラか? ……というかモンスターなのかも怪しくなってきたな……」

 この森には、凶暴なモンスターの他にもリスや鳥といった動物も存在している。だが、どう見たってそいつは安全な動物とは違うように思えた。

「……このまま寝ている隙に仕留めることは出来そうだが、俺の目的は強くなること……不意討ちなんて何の得にもならないな……」

 一応、刀はすぐ抜けるようにして、音を立てないように、ゆっくりとそのモンスターに近付いていく。

 1メートル近付いても、そのモンスターに動きはない。

 2メートル近付いても、微動だにしない。

 モンスターとの距離は10メートルあるかないかで、警戒を最大限にして、5メートルほど前に出てみた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ