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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
33章:実習生、予知を覆そうと躍起になる
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「…………は? いったいどういうことだ!!」

 先程は確かに発動した筈のタッチパネル機能が反応を示さなかったことに、俺は衝撃を受けて取り乱す。

 腕の中で息が弱くなっていくホムラのこともあり、俺は声を荒げて天界にいる筈の女神様にそう問うが、返事は無かった。

 明らかな異常事態に動揺を隠せないでいた俺だが、頭を整理する暇もなく目の前の敵が襲いかかってきた。

「おいおい! 眷族同士の戦いに天使風情を呼ぶなんて野暮なことしてんじゃねぇよ! なかなか味わえねえ戦いなんだからよ~!! 少しは頑張ってくれよ~!!」

 動揺のせいで反応が遅れた俺に、死の刃が襲いかかってくる。

 巨大な鎌を振り回す男の攻撃が俺を斬ろうとした次の瞬間、いきなり時が止まった。

 それは【勇気】が発動した証だったが、普段とは異なる状況が起きた。全ての時は止まった。しかしながら、そいつだけは止まらなかった。

 もう一つの特殊能力【ブースト】によって素早さを高めておいたおかげでその攻撃をなんとか防ぐことは出来たが、何故か動けるそいつに俺は驚きが隠せなかった。


「……ふざけんなっ……なんで時が止まったのに動けてんだよ!」

 俺の【勇気】は襲われた瞬間、一部の例外を除いて、俺以外の全てが1分間止まるという能力だった。そして、この特殊能力は眷族の中で3番目に強いと言われているハナさんでさえ止まってしまう程で……こんな何処の誰とも知らないような奴が簡単に破れるような代物じゃない。

「……いや、違うな。つい最近、【勇気】を簡単に破れる奴に会ったばかりだったな……なぁ? 時空神の眷族さんよぉ……」

 刀で再び襲いかかってきた男の攻撃を受け流し、後ろに跳んで距離を離した俺はそのことに気付き、男の正体を探った。

 そして、その言葉に赤髪の男は激しい動揺を見せた。

 時空神はこの世界を創った創世神の一柱で、時間と空間を司る女神だと聞いている。先日も時空神の眷族筆頭ことパルシアスが今回と同じように俺の【勇気】を打ち消した。前回とは少し異なるが、どうやら俺の予想は当たったらしい。


「……くそっ……まさかこんな訳のわからん能力で正体がばれるとはな……まぁいい……もとよりここにいる全員を殺すつもりだったんだ……!!?」

 憎々しげにそう言った男は、凄まじい殺気を見せた途端、いきなり何かに気付いたように明後日の方を見始めた。

「ちっ……やられた……」

 あからさまな舌打ちをした男は空間に黒い渦を出現させ始めた。

「今はまだパルシアスの野郎とやりあうには早すぎるからな……ここはあえて退いてやる。だが、次会う時は本気でお前を殺す……絶対にだ!」

「誰が逃がすかよ! 十華剣式、漆の型、松葉翡翠(しょうようひすい)の断ち、飛空!!」

 優真は時が止まったままの空間で、刀を収めて居合いの構えから、本気の一撃をお見舞いしようとした。だが、左腕にホムラを抱いている為、左腰の鞘に刀を収められなかった。

 それにより、コンマ数秒のロスが生まれ、刀を勢い良く振り下ろすことで技を発生させるも、寸でのところで時空神の眷族とおぼしき男は空間を裂いたように作られた渦と共に消えさってしまった。

 

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