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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
33章:実習生、予知を覆そうと躍起になる
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 剣を鞘に収め、俺は雑念をかき消す為に、目を閉じた。

 今ここで激昂する事は、自分にとって無益で何の意味もない事だ。むしろ、ホムラを危険に晒す可能性が高い。

 通信機を奪われたということは、ホムラはもう【隠密】を使用できない状態にあるということだろう。うめき声を上げたことから、ホムラが無事である可能性は0に近い。

 でも、それで諦められる程、俺は大人じゃない。

 可能性が少しでもあるのなら、俺は全力でその可能性を高める為に動く。

 自分はどうなっても良い。

 体の一部が無くなろうと、五感のどれかが無くなろうと、俺は最後の最後まで彼女を救う為に全力を注ぐ。

 それ以外、考える必要はない。

 ホムラが危険な状態にある。動く理由はそれで充分だ。


(……目の前にある扉は確かに硬い。例え1000倍(今出せる全力)で攻撃しても、壊れないかもしれない。そう思ってしまう程、この扉は硬い)

 1000倍を使えば、俺の体は10分も経たずに限界を迎える。

 そうなれば、ホムラやシルヴィ達を助けるなんてことは出来ない。目を覚ました時に、誰かが欠けていたりなんかしたら、俺は自分を絶対に許せないだろう。

(これは一種の賭けだ。……失敗すれば、ホムラを助けることは不可能になってしまうだろう。……だが、やらなければホムラを助けられる可能性はゼロだ)

 鞘に収められた刀の柄を握りながら、俺は【ブースト】を発動させた。

 値は今出せる最大値の1000倍。だが、前回と違って全てのステータスを上げる訳じゃない。

 上げる項目は攻撃力のみ……これにより、体にかかる負担を軽減して、限界を迎える可能性を0にする事が出来るかもしれないと思ってやってみたが、どうやらうまくいったらしい。目の前に映ったタッチパネルにはタイムリミットが変更したとの情報は一切無い。

 それならばと、俺は自分の攻撃力を最大限高める為に、心を集中させた。

(……敵がなんか言ってる気がする……でも、何言ってるのか聞こえないな…………まぁいいか……直接会うし)

 先程まで壊せる筈がないと思っていたのに、扉が壊せると自分は確信している。

 不思議な感覚に見舞われながら、俺は攻撃する為に鞘から刀を抜いた。


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