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通路の長さは500メートル程だと教えられていた。
四方を囲む壁は超合金製で、見た目はただの壁に見えるよう細工してあるとかなんとか。そして、一番の問題はーー
「鍛治の神が誇る眷族筆頭の自信作……絶対に壊れることはないと言われているこの最硬の扉……だな……」
扉の前にやって来た俺はそう呟きながら、走るのに邪魔で一度アイテムボックスに戻しておいた刀を取り出した。
そして、腰に着けられた鞘に収まった刀の柄に手を触れる。
「カルアーデ君達には悪いけど……この扉は本気で壊させてもらう……十華剣式、弐の型、白百合の舞い!!」
特殊能力【ブースト】で攻撃力を500倍にまではね上げた威力で放った白百合の舞い。全身全霊の一撃で斬るのではなく叩くことを重視した技、通常の俺でも本気で打てば相手の体に深刻なダメージを与えることすら可能だ…………それなのに、俺の刀は簡単に弾かれてしまった。
打ち込んだ場所には傷跡すらなく、ただ、大きい音が響いただけだった。その事実は、俺の考えが甘かったことを思い知らされるには充分なものだった。
いくら、誰にも壊せないと作った当人が自信満々に言ったとしても、それはそいつが知ってる奴だけの話だと思っていた。
俺だけの特殊能力【ブースト】であれば、純粋な力は他を凌駕すると過信していた。
だから、倒れないであろうギリギリのラインで本気を使った。……それなのに、壊せなかった……いや、傷すらつけることが出来なかった。
「……やばい……これは、さすがに無ーー」
無意識に出かけた言葉を、咄嗟に口を手で押さえることで出さずに済んだ。この状況で『無理』なんて単語を使う訳にはいかなかった。それは諦めを意味する言葉だ。今出せる全力でやっても意味がない……なんて俺自身が思ったら、扉の奥で戦っている彼女達はどうなる。
彼女達が命を懸けて戦っているというのに俺一人が諦める訳にはいかない。
「くそがっ!! 次は絶対ぶっ壊す!!」
そう意気込んで、刀を構え直した瞬間、耳に着けていたインカムに通信が入ってきた。




