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5-3


 部屋をあちこち探してみても、人っ子一人いやしない。

 明らかに異質。確かに遠足とか理由があっていなくなることはあるが、それでも、しっかりと書き置き、または、言伝てがあるものだ。

 ましてや、今日は俺が行くと伝えてあったはず。なのに何故、何の連絡もないのだろうか?


 ピーーーーーーっ!

 その時、村人達が持つ笛の音が聞こえてきた。

 しかし、その音は、普段のモンスターが村に入りこんできたような音とは異なり、普段よりも緊張感を高めるような合図だった。


「くそっ、あの子はいったいどこほっつき歩いてんだい。もうすぐ奴らが来るっていうのに!」

 保育所の玄関が開かれ、そんなことをぼやきながら、この保育所の持ち主であるシルヴィの祖母が入ってきた。

 どうやら、外に出ていたようだ。なんだか焦っているように見えるが気のせいだろうか?

「ねぇ婆さん。誰か探してんのか?」

「……あぁ? お前さん、こんなところにおったんか! こっちはあっちこっち回って、お前さんのこと探しとったのに。……まぁいい、早くこっちに来な!」

 しわくちゃな手に引かれ、俺は外へと連れ出された。


 外に連れられた俺は、何の説明も受けないまま、庭の一角に連れていかれた。

 婆さんは、庭の芝生をいじっている。

 何がしたいのだろうかと背後から覗きこんだ俺は、芝生の下に隠し扉があるのを見つけた。

 婆さんは、隠し扉を開けて、俺にここへ入るよう促してきた。

 何がなんだかわからないまま、中に入ると、婆さんに扉を閉められた。

「…………は? なんだよ婆さん。おいふざけんな! ここから出せ! 拉致監禁は立派な犯罪だぞ!」

「黙ってな! お前さんの存在がばれる訳にはいかないんだよ! 全部終わったら、ここから出してやるよ!」

 その言葉を残して、婆さんが去って行くような足音が聞こえた。


 …………いったいどういうつもりだ?

 とりあえず、この何も見えない空間をどうにか把握しないとな。大人一人は余裕で入れるみたいだけど、暗すぎて何が何処にあるのかさえわからない。

 光が射し込むような隙間がないからか、部屋は一面真っ暗。

 だが、大抵こういったところには、明かりを点けるような道具があるはず。例えば、俺が使わせてもらっている家にあるようなランタンとかね。

 ……何よりも、こんな暗い空間は正直苦手だ。


 とりあえず何か明かりを点ける道具を探すために、部屋の探索を始めることにした。

 すると、何か柔らかいものを掴んだ。 

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