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「……誰だ……こいつら?」
カルアーデが覗いた映像には、見慣れない武装をした数人の人間が映っている。そして、ガスマスクを着けている彼らを率いているのは、黒に近い赤色の髪を揃えた男だった。
画質が悪いせいで顔はわからなかったが、それでもその男が異質であることはわかった。映像越しでもわかる不気味な雰囲気を見て、カルアーデは青ざめた表情でその映像のみを見続けていた。
「どうかなされたのですか?」
「え……っ!?」
背中越しにユリスティナがそう聞いてきたことで、カルアーデは驚いて椅子から転げ落ちてしまった。
「だ……大丈夫ですか、殿下!?」
その様子を見ていた騎士達が床に転倒してしまったカルアーデの元に駆け寄っていく。当然、一番近くにいたユリスティナも彼を起こそうと駆け寄ろうとした。
しかし、彼女は見てしまった。
カルアーデが見ていた男がこちらを見ているところを……。
「だ……大丈夫だ。少し驚いてしまっただけだ…………ユリスティナ様?」
体を起こしてくれた騎士達にそう言ったカルアーデは、呆けているユリスティナに、目を向けた。
「……カルアーデ殿下……この方はまずいです……よくわからないですが……危険だとわたくしの何かが訴えてきています……」
カルアーデは青ざめたユリスティナの表情に、その言葉を疑うことは出来なかった。カルアーデが再びその映像を見ると彼らは通路の扉の前で話し合っている様子だった。
「……そういえばこの方……以前どこかでお見かけしたことがある気が……」
「本当!?」
万里華も二人につられてその男達の様子を見ていると、はっと何かを思い出したかのような仕草を見せたユリスティナが言った言葉に食いついた。
「はい……詳しくは顔が鮮明でないのでよくわからないのですが……あの髪色は見たことあるかと……」
ユリスティナの言葉を聞いた万里華はなんとかして思い出してもらおうと思ったのだが、急に小さな破裂音が連続で聞こえてきた。
急いで映像の方を見ると、先程の画面に彼らの姿がなく、王族直通通路の様子を撮していた映像に銃を連射している敵の姿が映し出されていた。




