33-23
「無理って……さっき出来るって言ってたじゃないか……」
予想外な返しに俺は戸惑いながらそう聞き返してしまった。
『そもそもが違うんだよ……私は出来たかもしれないとは言った……でも、それは少し前だったらの話だ』
「すまん……うまく理解出来なかったから詳しく説明してもらえないか?」
『わかってるよ……ただ、その前に足は動かしておいた方がいい。……ファルナちゃんとシェスカちゃんに迫った危機はなんとかなったけど、まだ襲撃は続いている訳だし、こっちも優真君のタッチパネル越しに映像を見ているから状況が詳しくわからないんだ。……それに、なんだか嫌な予感もするしね……』
「……それもそうだな。急いでシルヴィ達の場所に向かう。その間に詳しい説明を頼む」
そう返事して、俺は止めていた足を再び動かした。
『さて……そもそも神様は自由に人間達の住む地上に行くことは許されない。これは天使も同様だ。だが、私には一つの特権が与えられた。それは君がタッチパネルと呼ぶ神器の使用だ』「タッチパネル? この画面って神器だったのか?」
『そう。タッチパネルは他の神々が持っていない特別な神器だ。要するにそれを持っている私は特別な存在なんだ! もっと敬いたまえ!!』
画面の向こうで彼女がどや顔しているのが目に浮かぶ。だが、ここで彼女を誉めるのは釈然としないので、無視することにした。
「……それで? そのタッチパネルがこの話にどう関係してくるんだ?」
『関係大ありさ! そのタッチパネルを起点にしているからこそ私は地上に行けるんだ! もちろん、今は君の所有物にもなっているから君も開こうと思えば開けるんだけどね……』
「……オープンか……」
『イグザクトリー!』
「なるほど……なんとなくわかってきた。要するに俺が彼女達と離れているから、天界に送りたくても送れないって訳ね?」
『イエース! だから君があっちに行って彼女達と合流さえ出来れば、彼女達だけは眷族や天使という理由でこっちに来れるって訳……さすがに、ハナちゃんとメイデンちゃんは無理だけどね』
それを聞いて希望が見えてきた。
そんな時に通信が入る。それは緊急時にもしも森の時みたいに離れた時、何かが連絡できるようにとシルヴィ達に持たせたインカムからだった。
そして、そのインカムがシルヴィからだとタッチパネルに小さく表示されていた。
「おうシルヴィ、シェスカとファルナはなんとか見つけて神様に保護してもらっーー」
『助けてください!!』




