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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
33章:実習生、予知を覆そうと躍起になる
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 優真から眷族特有のオーラが色濃くなった瞬間、倒れていた数人がよろよろと立ち上がり、震える手を優真の方に向けた。そして、何かぶつぶつと呟き始めると、男達の手に魔方陣が刻まれ、そこから火の玉が出現した。

「……まだやる気なんだな……」

「悔い改めるがいい!! ()しき神に属する汚れき者よ!!」

 誰かがそう叫ぶと、一斉に火の玉を優真の方に放ち始めた。

 刹那、優真に近付いた火の玉が一瞬でかき消された。

 動揺する彼らの目に映ったのは刀で火の玉を斬った優真の姿だった。

「……いくぞ」

 刀を構え直した優真はそう呟くと、床にひびが入る程強く床を蹴った。

 その光景を見た男達は慌てて火の玉を連発するが、優真はそれらを意図も容易くかき消していく。

 優真の刀が放たれた火の玉を次々とかき消していき、どんどん男達の方に近付いていく。そして、それは一瞬の出来事だった。

「十華剣式、惨の型、曼珠沙華の舞い!!」

 その言葉がこの空間に響いた直後、先程まで火の玉を放っていた男達が絶叫を上げ、悶絶し始めた。


「……な……何をした!?」

 倒れたままの状態で、腹の痛みがひくのを待っていた一人が、のたうち回る味方の姿を見て、なにかを行ったであろう黒髪の青年に問いかける。

「……手首を斬った……と思うんだけど……」

 青年の言葉は嘘だとしか思えなかった。何故なら、悶絶している仲間達の手首は存在しているからだ。しかし、確かに手が痛いと仲間達は嘆いている。

「……お前達は火の魔法を手から使えるみたいだからな……まずは火を使えなくしようと思って手首を斬ったんだが…………手がなんで残っているのかは俺にもわからん」

 その表情からは疑問を抱いているのが伺え、彼自身も本気で理解していないのが質問した男にもわかった。


 それは、優真が使う技の中でも、剣の軌跡が綺麗な曼珠沙華の舞いが優真の特殊能力【ブースト】で加速されたからこそ出来た芸当。曼珠沙華の舞いを使っていた段階で、優真の【ブースト】は速度を50倍にしていた。

 曼珠沙華の舞いであえて手首を斬ったことで、皮膚の細胞は手首が斬られたことに気付かず、ただ、斬られたという事実だけを残して再生を開始したのだった。しかし、神経を斬られたことには変わりなく、血のたまる痛みと、神経を斬られた痛みが斬られた本人にはふりかかる。そして、再生するといっても、一瞬で完全に再生することはない。悶絶して暴れまわればーー

「おでの腕がぁあああ!!」

 簡単に取れてしまうのであった。


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