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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
33章:実習生、予知を覆そうと躍起になる
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 いきなり銃声が鳴り止んだことに疑問を抱いているファルナ、息も絶え絶えの状況で意識も混濁していたが、次にかけられた声だけは間違いようがなかった。

「ごめん、二人とも……遅くなった……」

 近くにしゃがみこんで優しく言ってくれた青年を見た瞬間、今まで絶対に泣かないと心に決めていたファルナの目から涙が流れ始めた。すると彼女の体が光りだして人間の姿に戻った。

 人間の姿に戻ったファルナは何も着ていなかったため、その白い体についた紅い血がよく目立っていた。その姿を見て、青年(優真)の怒りが増していく。

 ファルナはシェスカの体を抱き寄せた状態で敵に背中を向けて座っていた。だが、人間の姿に戻った瞬間、体に力が入らなくなり、床に倒れそうになった。

 そんな彼女を優真は慌てて支えた。

「僕ね……頑張ったんだよ……シェスカを守りきったんだよ……」

 涙を流し、今にも消えてなくなってしまいそうなほどの小さく掠れた声で、ファルナがそう言ったのを聞いて、優真は優しい微笑みを彼女に向けた。

「ああ……お疲れ、ファルナ……お前が頑張ってくれたお陰でシェスカは無事だ。……だから少しの間、休んでるといい。後は俺に任せてろ」

「うん……」

 壁に寄りかからせたファルナが頷いたのを見て、優真は彼女に立ち上がって、彼女に背を向けた。

「……あいつから聞いといて良かった。……こういう時の対策はしっかりと出来たからな……」

 そう呟いた優真は横目で、目を閉じて意識がなくなったファルナに抱きついているシェスカの姿を見て、タッチパネルを目の前に展開した。

「オープンだ! 来い! 天使ミハエラ!!」

『かしこまりました』

 その声が聞こえた直後、空中に白いゲートが出現した。

 突如として現れた白いゲートに戸惑う武装した男達だったが、銃を撃とうにも銃口を斬られて銃を使えないでいた。

 そして、彼らがちんたらしている内に、その白いゲートから一人の女性が現れた。

 1対の白い翼を広げ、神々しい光に照らされた女性は地上に足を着けると優真に向かって深々と頭を下げた。

「お初にお目にかかります。私は元大天使十二階位で第3階位(天使長)の席を務め、現在は子どもを司る女神様専属の天使を務めさせてもらっているミハエラと申します」

「挨拶はいいですから、とりあえずファルナのことをお願いします」

「かしこまりました」

 ミハエラが言ったように、優真は彼女と初対面だったが、何度か声を聞いたことがあったため、優真は彼女に指示を出した。彼女は凛々しい表情で頷き、優真の横を抜けてファルナの方に向かったが、途中で足を止めた。

「……ところで、優真様はどうなさるのですか?」

 いきなり放たれた質問に優真は時間をかけずに答えた。

「愚問ですね……あいつらは絶対に触れてはいけない逆鱗に触れた。だからあいつらには、その身に刻ませる必要がある。俺の大切な者に手を出したらどうなるか……ということをね」


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