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避難場所に関しての問題は、解消したと言ってもいいが、それでも国民やシェスカとファルナの件は解決していない。
ゲリラだけであれば、この皇国自慢の軍隊で対応することも可能だっただろう。だが、モンスターの大量発生に関しては、おそらく人手が足りなくなるだろう。
「…………くそっ……いったいどうしたらいいんだよ……」
シェスカやファルナが危険に晒される可能性は低い。城の中にいることで、敵と遭遇する可能性は比較的0に近い。だが……パルシアスが言ってきた言葉がどうしても引っ掛かる。
「ユウタン……何のために私達がいると思ってんの? ユウタンが大切にしているものは私にとっても大事なものなんだよ? ねっ、メイデン!」
「……うん、ご主人様が悲しむ姿は見たくない……外のモンスター達は私達が倒してくる……」
「そういうこと。皆がいるこの城に敵を近付かせなければここは安全だしね! 私達が外でモンスターを倒している間にユウタンは二人を見つけてきなよ。二人ともユウタンにとって大切なものなんでしょ?」
「……ごめん……二人に動いてもらわないと、俺は皆を守れそうにないみたいだ……」
「いいって、いいって……私達はユウタンのためならどんなことだってするよ? だから、こっちはお願いするね!」
「そうだぜ、ダンナ!! ダンナが二人を見つけてくるまでは、女神様の信仰者として私とこいつがダンナの大切な人達を守るぜ!」
「はい! 優真様の犬として、絶対に優真様の大切な方々はお守りいたします。私のことならお気になさらないでください。サハラさんの住む地区は反対側、ハナ様とメイデン様が動かれるのであれば、絶対に無事でしょう! だから優真様は早くお行きください!!」
「……ありがとう、皆……。ハナさん、メイデンさん、二人なら大丈夫だって信じてるけど……絶対に怪我しないでくれ!! 二人とも、所属している神様は違うけど、同じ時間を過ごした家族なんだ。……だから、絶対に無事で帰ってきてくれ!! それじゃあ……行ってくる!」
戦いに赴くハナさんとメイデンさんに、そう声をかけ、皆に背中を押された俺は、部屋の扉を開けて外に出た。




