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「……要するに……10分経ってもシェスカとファルナは戻って来なかったんだな?」
「……ごめん。やっぱり止めるべきだった。シェスカちゃんとファルナちゃんは私が責任を持って連れ戻してくるから、優真は皆を連れて安全なところに行ってて!!」
万里華から全ての事情を聞いて焦っていた俺だったが、その選択だけはするべきでないことくらいはわかった。
だが、この状況でどう動くべきかがわからなかった。
今襲われている王都に住む人々、まだ一度しか会っていないが、シルヴィとシェスカの祖父母だって危険に晒されている。ましてや、うちの女神様を信仰している人達だ。見殺しになんて出来ない。それに、カルアーデ君が思いを寄せているサハラさんと呼ばれていたこの前行った店の従業員……判断をミスって彼女に何かあったら、カルアーデ君からの信用を失いかねない。今は信仰している関係上、俺の傍にいるが、国民を見捨てる選択肢をすれば、彼がどう動くかわからない。
シェスカとファルナに関してが一番厄介だ。緊急事態だというのに、侵入者対策の迷宮通路に迷い込んだのであれば、見つけるのは困難になる。一番の救いはファルナが一緒であることだが、いくら神獣化があるとはいえ、彼女はまだ子ども。100パーセント大丈夫だという保証がないうえに、緊急時の対応に一抹の不安が残る。
そして最後の問題が、今ここにいる彼女達の安全だ。出来ればすぐにでも聖域に帰ってほしいところだが、聖域が絶対に安全であるなら、最初から彼女達を連れてきていない。どこか絶対に安全な場所に彼女達を連れていきたいが……そんな場所を俺は知らない。
「……なぁカルアーデ君、彼女達を安全な場所に避難させたい。どこか知らないか?」
俺がカルアーデ君にそう聞くと、彼はこちらに真剣な顔を向けてきた。
「先程通ってきた王族が住む部屋のある区画に直接繋がる通路内部にある部屋は絶対の安全を保証します。更にこの通路は壁が厚く、扉は眷族でも絶対に壊せないと鍛冶の男神の眷族筆頭が自慢していた代物です。その扉を開ける鍵もこれと父上と皇王様の持っている3本だけです!!」
「なるほど……そこを使うか……」
そう言われたことで、俺はその通路を避難場所として活用することにしたが、それでも問題が解決するとは言えなかった。




