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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
33章:実習生、予知を覆そうと躍起になる
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33-7


 ~爆発が起こる30分程前~


「シェスカも探検行く!!」

 その唐突な発言は、カードゲーム(トランプ)で時間をつぶしていたシルヴィに向けられたもので、放った張本人(シェスカ)の表情には、少しだけ怒りが含まれている様子だった。

「だめでしょ、シェスカ。ここで待っててってユーマさんに言われてたじゃない……」

「ぷいっ……お兄ちゃんなんて嫌いだもん! お兄ちゃんばっかりめいろっていう面白いもので遊んでるんでしょ!」

 未だに置いていかれたことを根に持っている様子のシェスカに、シルヴィはため息を吐いた。

「あのね、シェスカ……ユーマさんは遊んでるんじゃなくてお仕事してるのよ」

「嘘だもん! お兄ちゃんのお仕事はシェスカと遊ぶことなんだもん! 前にお兄ちゃんが言ってたんだもん!」

 絶対に譲らないシェスカと、優真を庇うシルヴィ、二人の口論を眺めているだけの万里華達も、さすがに見ている訳にはいかなくなった。

「う~ん、仕事云々は置いておくとして、何が起こるかわからないんだから、シェスカちゃんもここに居た方がいいんじゃない?」

「マリカお姉様の言うとおりですわ。ユウマ様はここでおとなしくするとわたくし達が約束したからこそ、一緒に連れてきてくださったんです。約束を違えては、また怒らせてしまいますよ? だからシェスカちゃんも、ここでおとなしくしていましょう……」

「やだ!!」

 万里華とユリスティナは、シェスカに残るよう説得を試みるも、たった一言でシェスカは突っぱねてしまった。

 一度やると決めたことは意地でもやろうとするシェスカが素直に言うことを聞いてくれるとは思っていなかったが、まさかここまで意地になるとはさすがに想定外だった。ましてやシェスカがかなり気に入っている二人の説得を、まるで聞こうとしないところから見て3人は同じ結論に至った。

 シェスカは今、不機嫌で聞く耳をもってくれていないのだ。

 こういう時の彼女に何を言っても無駄なのは、3人共よくわかっていた。

 最近、聖域の外に出ることが叶わなかったのも、今回わがままを言い始めた要因の一つだろう。

 そんなシェスカ(彼女)を見て、どうするかを悩んでいる3人の前を白髪の少女が通った。

「ねぇシェスカ、僕も一緒についていってもいいかな?」

 ファルナの発言に驚いた顔を見せる3人だったが、逆にシェスカは唯一の味方を見つけたかのように大袈裟すぎる笑顔で頷いた。

「うん! ファルナお姉さん、いっしょ行こっ!!」

 その嬉しそうな声に対してかわいらしい笑顔を向けるファルナに、万里華は何か言いたげな顔を見せるが、ファルナがいきなり自分の方に顔を向けたことで、言おうとしていた言葉が言えなくなってしまった。

「大丈夫。シェスカは僕が守るよ! 10分くらい遊んだら戻ってくるから……ね、いいでしょ?」

 ファルナがそう聞いてきたことにより、万里華は頭を悩ませた。


 本来であれば、行かせる訳にはいかない。

 だが、このままではシェスカが一人で行って誰かが追いかけるという森と同じような結果になりかねない。

 彼女の鼻が特別きくことも、ファルナが強いことも知っている。それに、昔の振り回されているだけのファルナと違って、今のファルナには、年上のお姉さんとしての自覚があるように感じられた。

「……10分だけだかんね。……過ぎたら優真に怒ってもらうから……」

「うん! ありがとう、マリカお姉さん!」


 こうしてシェスカとファルナの二人は扉を開けて、部屋の外に出た。


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