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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
33章:実習生、予知を覆そうと躍起になる
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 いきなり響き渡る轟音は城内からではなく、町の外から聞こえてきた。正確な距離は窓が見当たらないこの部屋からは確認できないが、それでも優真には音が聞こえた方向は、この前行った教会やシルヴィとシェスカの祖父母宅とは別の方向から聞こえてきたものだということがわかった。音も爆発音という感じで、優真は嫌な予感しかしなかった。

「!? 今のは何の音ですか!!」

 音がした方に目を向けていた優真は慌てて皇王に聞くが、彼女自身も取り乱しており、青ざめた顔を見せていた。しかし、優真の声で我に返った彼女は、優真の質問になんとかして答えようとしていた。

「……く……詳しくは分かりませんが……おそらく何処かで大規模な爆発が起きたのだと思われます。一応、言われた通りに王都の警備を強化してはいますから、大丈夫だとは思いますが……」

 皇王の言葉は目の前にいる存在の凄さを思い出して、徐々に冷静さを取り戻しているようだった。優真自身もパルシアスから聞いていた予知の対策として警備を強化するように言ったのを思い出して、まずは現状の確認から行おうとした。

 その直後、部屋の扉がノックされ、いきなり許可も無しに扉が開け放たれた。そこから入ってきたのは執事服を着ている青年だった。

「大変でございます!! 町の外れで大規模な爆発が発生し、大勢のゲリラと大量のモンスターが突如出現しました!!」

 大声で知らされ、優真の表情は徐々に青ざめていく。この状況でパルシアスから伝えられた言葉が脳内で再生する。


「カルアーデ君!!」

「は……はい!!」

 彼女達の元に行かなくてはならない。それしか考えられなくなっていた俺は、彼女達のいる部屋までの近道を開くため、そこの鍵を持っている人物の名を呼ぶ。

「シルヴィ達が危険かもしれない!! まずは急いで彼女達の元に向かう!!」

 その言葉で意図を察したらしく、カルアーデ君は部屋から飛び出て扉の方に向かった。それを見た俺は彼の後を追った。


(……無事で居てくれよ……)

 そう願いながら俺は通路を走り抜け、出口の扉をカルアーデに開けてもらった後、皆がいる部屋に向かった。

 迷路のような複雑な通路の入口を素通りし、俺達が借りていた部屋の前まで急いで向かった。

 この部屋まで着くのにかかった時間は5分程度、爆発が起きてからそんなに経っていないことから、俺はまだ敵が来ている筈がないとわかっていた。それでも、嫌な予感がおさまらない。

 俺は閉まっていた扉を勢いよく開けた。


「皆無事か!!」

 扉を開けた俺は集まって何かを相談している様子の彼女達にそう声をかけた。

 こちらに不安そうな眼差しを向ける少女達を見て、俺は一瞬安堵した。しかし、安堵できた時間は10秒もなかった。

「すみません、ユーマさん! まだシェスカが戻ってきていません!!」

 シルヴィの口から放たれたその言葉で、俺は最悪の事態を想像してしまった。


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