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「ユウマ様、わたくしはユウマ様の話を聞いて、正直怖かったです。……もしかしたら、わたくしが死ぬかもしれないんですよね? ……そんな話を聞かされて、怖くない訳がありません。きっとお姉様方もそこは同じ気持ちだと思うのです。……でも……それでも、ユウマ様の傍にいたいのです。今回死ぬのを逃れたとしても、結局いつかは死んでしまうかもしれない。それは明日かも、数年後かもわからない。もしかしたら眷族になれた時に得た不老の力で生き続けられるかもしれません。……でしたらわたくしは、少しでも長くユウマ様の傍にいたいのです!」
ユリスティナの声は震えており、その様子から気力を振り絞ったのが伝わってくる。彼女の瞳から一筋の涙が流れ、彼女は指で拭った。
なんて言えばいいのかわからなくなってしまった俺は、何か言わないんじゃいけないかと思い、口を開こうとした。だがその前に、シルヴィがユリスティナの隣に立って、彼女の肩に手を置いた。二人が目だけで会話すると、シルヴィがその口を開いた。
「私もユリスティナさんと同意見です。例えここで死んでしまったとしても、ユーマさんと過ごしてきた思い出が私の中で一番だったことには変わりません。例え死んだとしても、ユーマさんを恨むなんて絶対にしません。だから私も……いえ、私達も連れていってはくれませんか?」
「…………駄目だ……」
「優真っ!!」
「嫌だ。殺されたくない。大切な存在のお前達を殺されたくなんかない! 死ぬのは痛いんだ! 苦しいんだ! ……徐々に息がしにくくなって、血が出ているところから冷たくなっていくんだ。……あんな苦しみをお前達に味わわせたくなんか無い!! ……俺は……絶対にお前達を連れていきたくない……」
彼女達の考えはわかった。でも、彼女達が死ぬ可能性を高めるのはもっと嫌だ。嫌われたっていい。わからず屋と怒鳴られたって構わない。俺にとっては彼女達が大事で、彼女達を危険にさらして、あいつの予知通りになったら……俺は自我を保っていられる自信がない。
少なくとも、あいつが言っていた今年中という期限が過ぎるまでは、最低限、彼女達をここから出す気はない。
「ここに居たって安全とは限らないよ?」
「…………は?」
過去に味わった痛みを思い出して流れた涙を拭っていると、いきなりハナさんがそんなことを言ってきた。




