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32-1


 一面『和』の要素で形成された部屋の一画、一人用の椅子が二つ、小さなテーブルを挟んで向き合うように設置されたその場所に二人の人影があった。

 一人は、漆黒の髪と黒い瞳が特徴的な若い男性。もう一人は、エメラルドグリーンの髪を長く伸ばした見た目5歳程度の少女。その少女に対して青年は、椅子に座りながら頭を下げていた。 

「……という訳で、俺はやってみたいことが出来た。女神様の頼みを断っておいて勝手だとは思うが、貴女にも力を貸して欲しい!」

 少女は黙ったまま、頭を下げている男性の方を見続けていた。やがて、諦めるように大きなため息を吐いた。

「……それが本当に君のやりたいことなんだね?」

 その言葉に迷いなく頷いた青年を見て、今度は小さく笑った。

「……一応言っておくけど、『神々の余興』に優勝すれば、優勝した神の眷族筆頭は、一つだけ願いを叶えさせることが出来るよ? どんな願いでも、創世神の3柱が絶対に叶えてくれるんだよ? それでも参加しないの?」

「確かに魅力的な提案かもしれないけど、今の俺じゃ優勝するなんて無理だよ。パルシアスの方はあの時止めさえなんとかすれば勝てる可能性も出るかもしれないが、真ん中に立ってたキュロスとかいう男には、勝てるビジョンすら浮かばない。はっきり言って無謀過ぎる賭けだ。……それに、自分の手でやるって決めたし、応援されちゃったからな……」

「……わかったよ……」

 その言葉で、青年の表情に希望の光がさした。

「てことは!」

「ああ、私、子どもを司る女神は、今回、眷族筆頭を務める雨宮優真の頼みに惜しみ無く力を貸すことをここに誓おう。もちろん、罰則に触れるような願いを聞き入れる気はないが、私に出来ることがあればなんでも言ってみてくれ!」

「…………ありがとう、女神様……」

「これくらいどうってことないさ。優真君には幾度となく酷いことをしてきたし、私の為に色々と働いてもらった。頑張ってくれている眷族に力を貸すのも神の役目なのさ……それじゃあ私は、これで帰らせて貰うよ」

「はい! 今回は俺の為にわざわざ来ていただいてすみませんでした」

「よしてくれよ。私と君の仲じゃないか! 敬語なんて使わないで、いつも通り接してくれよ!」

「女神様がそれで良いって言うなら、そうするよ。今日は本当にありがとな!」

「うん、じゃあまたね!」

 その言葉が少女の口から放たれた直後、この空間からその少女はいなくなってしまい、青年一人だけになってしまった。


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