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30-10


 彼女は涙で潤んだその瞳を向けてくる。その瞳に込められた決意は、俺の言葉でも揺らがないように思えた。……いや、俺の言葉だからこそ、聞く訳にはいかないのだろう。

 彼女は俺がどれくらい保育士になりたいのかを知った。その俺が、なるのは無理だと言った。その言葉の真意がきっと彼女にはわかったのだろう。

 俺はきっと、彼女になるのは無理だと言ったんじゃない。その言葉は、なるのを諦めきれていない俺に向けられたものなのだろう。

 その言葉で彼女が諦めてくれれば、俺は諦めがつくと勝手に思っていた。だが、結果は違った。彼女はその言葉を否定し、俺に新しい道を提示してくれた。

『保育士をこの世界にも作る』

 言うのは簡単だが、それは決して容易なことではない。

 きっと1年や2年じゃ出来はしないだろう。経験のない俺じゃ話にもならない。高い確率で失敗するだろうな……だが……不可能じゃないかもしれない……。


「……まずは、文字の読み書きくらいはしっかり出来ないとな……」

「!? それじゃあ!!」

「ああ……やるだけやってみるよ。……まぁ、すぐに出来る訳じゃないだろうがな……」

「やれるよ! ダンナならきっと作れる! 私に出来ることだったらなんだってやる……ぜ……」

「ホムラ!?」

 ホムラのテンションが上がり、俺の方に顔をかなり近付けた直後、彼女はいきなりふらふらと倒れかかってきた。

 彼女の様子をみてみると、顔がかなり赤くなっており、目も焦点があっていなかった。

「おい! どうした、ホムラ! 大丈夫なのか!!」

「……のぼせた~」

 焦って何度も彼女の名を呼ぶ俺の前で、彼女がそんなことを言い始めたため、つい失笑をこぼしてしまった。

「……こんなになるまで俺に付き合ってくれたんだな……ありがとう、ホムラ……」


 その後優真は、のぼせてしまったホムラを湯船から出し、横に抱きながら彼女を脱衣場の方まで連れていくと、簡易的な処置をしてから呼んできた天使にホムラのことを任せた。


 次章、シェスカ動きます。

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