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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
4章:実習生、子どもを捜索しに行く
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4-7


『【勇気】の発動条件は、使用者又は子どもが襲われた瞬間、強制発動します。これによりあなたは、1分間の間、一つの選択を選べます。

 ・庇いますか?

 ・見逃して、見殺しにしますか?』


 タッチパネルに表示された文字が俺に選択権を委ねてくる。今まではこんなのなかった。そして、能力の表示、これが本当の【勇気】の力。俺以外の人間に適用されるとは思ってもみなかったが、今は好機だ。

「この状況で見殺しになんてするわけないだろ!!」


 俺は選択肢にある『庇いますか?』を選択した。

『了承。これにより、もう一つの能力【ブースト】の発動条件を満たしました。ご武運を』


 ◆ ◆ ◆


 その内容は、少なからず俺に衝撃をもたらした。

 前回は使えなかった【ブースト】がここにきて発動したのだ。

 驚いている俺の下に、タッチパネルは新たなメッセージを送ってきた。


『【ブースト】の効果により、これから一時間、全ての能力をはねあげることが可能です。

 P.S最初は特別に攻撃力と防御力を5倍程度に設定したけど、次からはセルフでよろしく~。ちなみに今度牛女だとか、クソビッチとか言ったら、お前の住んでる村にドラゴン出すからな。肝に命じとけよ』

 最後の怪文書が少し怖かったが、今のが5倍程の威力なのだと気を引き締め直す。

 5倍とはいったが、それでも、充分な威力を誇っていた。

 俺が殴ったテンペストハウンドは数メートル吹き飛ぶと、すぐに動かなくなった。

 ……終わったのか? なら皆を連れてーー

「油断するなユウマ君! やつらは群れで動く!」


 ライアンの言葉で前を向く優真。そこには20匹ほどの、テンペストハウンドと呼ばれるモンスターがいた。


 ◆ ◆ ◆


 テンペストハウンドは、仲間の亡骸を一瞥した後、優真たちを囲むような陣形になった。

 統率の取れた行動に驚かされるも、すぐにそれどころではなくなる。近くにライアンさんがいるが、さすがに一人じゃ難しそうだ。


 にじり寄ってくるモンスター、一匹二匹なら、さっきみたいに【ブースト】ですぐに倒せるが、これ程いるとどうしようもない。

 そしてついに、テンペストハウンドが一斉に飛び掛かってきた。

「皆逃げてーーっっ!」

 その絶対絶命の状況でシルヴィは叫んだ。


 しかし、その時には既に、テンペストハウンドは亡骸の山になっていた。


 ◆ ◆ ◆


 【勇気】の発動条件は襲われた瞬間、そして、効果範囲は初ターンのみ。要するに互いが一撃ずつ打ち合えば、終了する効果。


 要は一発で殺れば、次の戦闘が始まるのだ。

 効果の対象が強調表示されたように、止まった世界には存在する。

 要するに、そいつを一撃必殺のもとに沈めればいい。


 止まった空間で強調表示されたテンペストハウンドの前で、優真はどうすればいいか考えていた。


 さっきの力を込めただけの一撃じゃだめだ。さっきのやつは、ちょっとの間だったが、生きていた。要するに即死させられない攻撃ってことだ。


 だったら見せてやるよ。

 高校時代、数学の先生が授業中、自習の時に見せる空手の構え。何度も何度も見せられてから、ネットで調べた技の一つ。

 動く相手に当てるのは俺じゃ至難の技だが、止まっている相手に当てるなら何の問題もない。

 空手の基本すら知らなくても、やるしかないなら、やるしかない!

 一点集中ーー 

「掌底打ち!」


 その掛け声と共に放たれた一撃は、テンペストハウンドの頭部に直撃し、その体を吹き飛ばす。

 すぐに、【勇気】が効果を終了し、次の【勇気】が発動する。

 優真は、20匹のモンスターを時間にして、1秒もかからずに全滅させてみせた。

 実は、高校の先生に関しては、モデルになった人が実際にいます。

 ホームルーム中とかもやってた。皆の恐怖の対象、俺は意外と好きだったけどね。何も悪いことしなきゃいい先生だったし、勉強の教え方上手かったし。ただ、強面で空手の先生なだけ。

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