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子どもたちを捜索する者は、俺を含めた40人の男たち。ほとんどが屈強な男でリーダーを婆さんから任せられたガルバスさんに関しては、ライアンさんよりも体格が一回り大きかった。
茶色い髪のライアンさんとは違って、ところどころに白の混ざった赤毛の男、とても還暦を迎えた人物とは思えない。
金払われたって、この人とは腕相撲なんかしたくないと初印象で抱くくらいには強そうだった。
しかし、それにしてもこの村は深刻な過疎化が進行しているのか、若者が全然見当たらない。今回参加している人も全員が四十を越えたおっさんだ。
(過疎化にしたって異様に少ないな。むしろ、シルヴィさん以外で十代の子をこの村で一人も見ていない気がする)
「……大丈夫かユウマ君? もしかして、緊張してるのか?」
「いえ、確かにそれもありますが、……ここって若者が少ないんですね」
「何を言ってるのかねユウマ君? ここにいるじゃないか、村一番の男前で優しい好青年、が!」
「………はは、そうですね。そんなことより、この村って7歳以上の子どもだっていませんよね?」
「全員集合!!」
肝心なところを聞こうとしたタイミングでガルバスさんが、皆を集めるために大声で言った。
「今回、婆さんの代わりにリーダーをすることとなったガルバスだ! 今回、我々の目的は、子どもたちをこの村に連れて帰ることだ! 極力戦闘は避け、子どもたちを見つけたら合図。この霧が濃い中で子どもたちを見つけるのは至難のわざだが、二人一組でなんとしても探し出せ! それから、人喰い族の方へは決して近付くな! 特にユウマ!」
「はい!」
名指しで注意されるのは恥ずかしかったが、これは仕方ないと思える。実際、これは冗談ではないのだ。笑うやつなんて、誰一人いない。
この場において、笑いは許されない。
ガルバスさんの言葉で全員気を引き締める。
「出発じゃー!!」
「「「「おーーっ!!」」」」
その合図にあわせて、森へと入る捜索隊。
俺とライアンさんは、馬車の御者台へと移動する。
これは、子どもたちが見つかった時に、乗せるためのものだ。
こうして俺たちは、捜索隊に続いて森へと入ったのである。




