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「お兄ちゃん、お姉ちゃんになんかしたの~?」
シェスカの言葉に俺は否定の一つも入れることが出来なかった。
分かってはいたけど、明らかに避けられてる。
俺はあの日のことを未だに謝れていない。
ここ最近、給食の配膳を手伝いにくる俺は、ライアンさんの付き添いでよくこうして保育所に来ているのだが、シルヴィさんに会う度、こんな感じで避けられている。
謝りたい気持ちはあるのだが、俺の意気地がないのもあって結局2週間が経っても、こんな感じだ。
隣のおっさんが、青春だね~、と、からかってくるのを聞きながら、俺はいつものように、子どもたちの給食を配るのであった。
◆ ◆ ◆
次の日、いつものように、昼の時間まで、他の人の手伝いをし、今日も給食の配膳を手伝いに行く。
今日こそは絶対に謝ってみせると意気込んで、俺はライアンさんと保育所の方へと向かった。
「……今日はなんだか霧が濃いな」
荷馬車の手綱を握るライアンさんは、空を見ながらそう呟いた。
彼の言ったように、この先にあるスティルマ大森林の霧が異様に濃かった。村の方は、まだ大丈夫みたいだが、こういう日は外に出ない方がいいかもしれない。
「なんかやばい気がするな。こういう日にはなんかが起きるもんだ」
なんとまあ、盛大なフラグを立ててくれるんでしょうかこのおっさんは……そんなこと言ったら絶対なんか起こるだろ。いい加減にしろ!
「……子どもたちに何もなければいいが」
おい、誰かこいつの口ふさいでくれ!
これ以上変なフラグを立てさせないでくれ!
「どうしたんだいユウマ君? さっきから何か言いたそうな顔して?」
「……いえ、なんでもありません。すいません」
言いたい。口を閉ざせやフラグ製造機、と。でも、この人肉体鍛えてるせいか、筋肉もりもりのマッチョマンなんだもんな~。着痩せしてるから、見た感じわかんないけど、脱いだ瞬間、46歳のおっさんとは思えないほどだ。
言った瞬間、頭蓋骨砕かれるんじゃないかってくらい手も大きいし、腕も丸太みたいに太いし、腹筋ムキムキだし。
なんか、もともと一人で給食を担当していたから鍛えてるって言ってたけど、ここまでするの?
顔が優しそうな茶髪のおじさんだったから、最初は気にしてなかったけど、初めて狩りしてる姿見た時、鳥肌たったしね。こんな人と敵対なんか絶対したくない!
「ユウマ君、今日は調子が悪いのかい? さっきからぶつぶつと一人言ばっかり言ってるよ。……そのままでは、シルヴィちゃんは振り向いてくれませんよ?」
「……いや、シルヴィさんは関係ないでしょ」
「そう言いなさんな。ほら、もうすぐ着きますよ。今日こそシルヴィちゃんに謝るのでしょう?」
なんでその事知ってんだこの人?
まぁ、今はいいや。今度はちゃんと彼女と向き合うって決めたんだから。
しかし、保育所の中にシルヴィさんの姿はなかった。




